眠りから覚めた巨人の4番が無双状態に入った。岡本和真内野手(24)が1点リードの3回1死一、二塁から、中日ロドリゲスの直球を右中間席に運んだ。今季1号こそ自身最遅の56打席目と苦しんだが、リーグトップタイの12号3ランで5月は計7本塁打。打点とともに打撃2冠に立った。無駄をそぎ落としてインパクトでパワーを全集中させる理想のスイングをものにしつつある昨季の2冠王が、アーチ量産で坂本主将不在の穴を埋めていく。

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岡本和の乾いた打球音が響いた。1点リードの3回1死一、二塁、中日ロドリゲスの初球。内角低めの149キロ直球を、無駄のないスイングでたたきつぶした。右足に乗った体重をバットを通じてボールと衝突させ、右中間席へぶち込んだ。数歩“確信歩き”して走りだすと、右手1本でバットを放り投げた。「チャンスだったので何とかしようと」。ベンチに戻ると笑顔でナインと喜び合った。

理想のスイングに近づきつつある。無駄な力み、無駄な動きを徹底的にそぎ落とし、インパクトの瞬間に全神経を集中。「つぶす感じで打ちに行っている」というイメージが特有の打球音を生み出す。シーズン序盤は開幕から14試合で1発から遠ざかったが、試合を重ねて行く中で無駄が省かれていった。「打席数が増えていくと変な力みとかもなくなっていく。徐々に打席の中で自分のスイングができて来ているかなと思う」。今季は12本塁打中9本が中堅から右方向。「意識はしていない」と言うが、無駄のないスイングの追求が右へ左へ、本塁打を重ねられる状態の良さにつながっている。

主将の不在のピンチも、マイナスに捉えすぎずに発奮材料に変える。坂本が負傷した9日ヤクルト戦から10試合で7本塁打と大車輪の活躍。「(坂本)勇人さんも、打ってなかったり負けたりしていると『早く戻らないと』という焦りにもつながる。そうならないようにはしたい」と責任感を口にした。2年連続2冠王へ、ギアを上げてきた。【小早川宗一郎】

▽巨人原監督(岡本和の右中間への1発に)「すごいホームランですね。低いボールをパワーのある人が打てるのは大きな(武器になる)、ね。低めのボールを狙っておくのはすごく大事なことだと思います」

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