俺も続くぞ! 阪神井上広大外野手(19)がプロ2年目で初めて甲子園にアーチをかけた。

巨人との2軍交流戦に「4番右翼」で先発し、2回にメルセデスから先制の4号ソロ。履正社時代の19年に夏の甲子園大会決勝で星稜・奥川(現ヤクルト)から3ランを放って以来だった。ともに甲子園で初勝利を挙げたロッテ佐々木朗、阪神西純ら同世代に負けず、今度は1軍での聖地アーチを目指す。

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2786人の観客が、衝撃音に反応した。2回先頭の第1打席。井上はメルセデスの2球目、125キロスライダーを甲子園の空に打ち上げた。打球が左翼席最前列に飛び込むと、拍手は一気に大きくなった。

「(感触は)良かったと思います。懐まで呼び込んでスイングすることを心掛けてやりました」

7日のソフトバンク戦以来、13試合ぶりの1発。19年夏の全国高校野球選手権大会決勝で星稜・奥川から中堅左へ3ランを放って以来、プロの実戦では初の甲子園弾となった。履正社を初の全国制覇に導いた聖地の申し子は、2軍戦ながら「伝統の一戦」でファンを沸かせるスター性を見せつけた。

平田勝男2軍監督は「甲子園になると打つんだよ。他では打たんけど」と直近2試合で8打数無安打、7三振だった4番を冗談交じりにいじった。前回15日の甲子園での広島戦でも3打点と相性がいい。相手のメルセデスは19年は先発ローテを守り、8勝を挙げた実力派。左肘手術から1軍復帰を目指す途上とはいえ、価値ある1本となった。

井上と同世代の西純、佐々木朗は今季、ともに甲子園で初勝利。チームメートの及川も28日に1軍デビューし、星稜からヤクルトに進んだ奥川はすでに今季2勝。仲間でもあり、ライバルでもある「プロ同期」の活躍を刺激に目指すは1軍での甲子園アーチだ。

「(甲子園は)やりやすいと言われればやりやすい。上(1軍)に行った時に結果を出していかないといけない球場。打てて良かったなと思います」

試合後は黙々と下半身のウエートでいじめ抜いた。この1本で満足しない。「明日からも継続していければなと思います」と力強く前を向いた。【中野椋】