求める理想は高い。オリックス山本由伸投手(22)が、7回4安打1失点で今季5勝目をマークした。

この日の最速は156キロ。104球の力投で9三振を奪うも「納得いかない部分もあった。これを合格最低ラインぐらいに、調子をあげていきたい」と高みを目指す。

22歳右腕は、敵地でも冷静だ。初回2死二、三塁のピンチを迎えると、5番高橋周を153キロ直球で遊ゴロに仕留めた。4回1死三塁も、高橋周を154キロ直球で空振り三振。続く阿部は128キロカーブで体勢を崩し、空振り三振に打ち取った。6回に中日福田に1発を浴びて、1失点。7回2死三塁で代打福留を迎えた。44歳の巧打者をカウント2-2からの5球目、129キロのカーブで見逃し三振。マウンドを降りてからグラブをポンとたたき、謙虚に喜びを表現した。

5勝は宮城と並んでチームトップ。78奪三振、防御率2・29はリーグトップだが、今季5敗を喫しており「もう負けがつかないように投げようと思っている」と語気を強める。

今夏の東京オリンピック(五輪)でも、主戦投手としての活躍が期待される。「(中日の)大野さんは日本を代表する投手。投げ合えるのは、とても楽しみでしたし、すごく興奮しました」と見事に投手戦を制した。

16年ドラフト4位。著しい成長を遂げ、今や日本のエースといっても過言ではない高卒5年目右腕は「しっかり睡眠を取って、たくさんご飯を食べて、規則正しい生活をしています」と、アスリートの基本を忘れない。「どんなマウンドでも、僕の中には楽しさがあります」。胸を躍らせ、全力で腕を振る。山本にとってマウンドは、楽しむ場所だ。【真柴健】