佐藤輝に続いて今年も地元の金の卵を密着マーク! 阪神が今秋ドラフトの上位候補として、関学大・黒原拓未投手(4年=智弁和歌山)をリストアップしていることが7日、分かった。最速151キロを誇る本格派で、今オフ補強ポイントの先発左腕の有力候補だ。28年ぶりに全日本大学選手権に出場する関学大は、8日の1回戦(神宮)に登場予定。阪神のスカウト陣がクロスチェックで一挙手一投足を追う。

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阪神のお膝元、兵庫県には昨年の佐藤輝に続いて、今年も才能光る即戦力がいた。黒原は、関学大1年時から活躍を続ける好左腕。身長173センチと小柄ながら力強い腕の振りで、威力のある直球やスライダー、チェンジアップなどの変化球も多彩に投げ込む。智弁和歌山では3年夏に甲子園に出場。聖地とも縁がある。

今春の関西学生リーグでは、自己最速を更新する151キロをマーク。大黒柱として5勝を挙げ、チームを13年秋以来のリーグ制覇に導いた。そんな「勝てる投手」に、阪神も熱視線を送っている。5月23日の同大戦を視察した和田テクニカルアドバイザー(TA)は「どの球種も勝負球に使える。速球は強いし、カットボールで左打者に三振を取って右打者を詰まらせられる。的を絞らせない」と絶賛していた。

今季の阪神は、先発左腕不足が否めない状況だ。先発ローテを回る6人のうち、左はドラフト2位の伊藤将だけ。開幕ローテを期待された高橋は、今春のキャンプで右脇腹を痛めて離脱してリハビリ中で、岩貞もリリーフに回っている。新外国人チェンと岩田稔も2軍再調整中で、先発左腕は今オフの重要な補強ポイント。今後の黒原の投球次第では、ドラフト1位候補に浮上する可能性がある。阪神は黒原以外にも、即戦力の3左腕に注目している。

西日本工大の150キロ投手、隅田知一郎(ちひろ、4年=波佐見)は、7日の全日本大学選手権初戦で8回1失点で14奪三振の快投。阪神は総勢11人で視察した。8日に松山大(四国地区)との初戦を迎える関学大の黒原をチェックし、力量を比較する。また、多彩な変化球を操る新潟医療福祉大・桐敷(きりしき)拓馬(4年=本庄東)も候補。筑波大・佐藤隼輔(4年=仙台)は最速151キロを誇り、「大学ナンバーワン左腕」の呼び声も高い。阪神はドラフト1位候補に挙げる高知・森木大智、市和歌山・小園健太(ともに3年)の両高校生右腕らとともにマークを続けていく。

プロ志望を公言し続けてきた黒原にとって、待望の全国初舞台。アピールに成功すれば一段と評価が高まる。阪神も昨年同リーグから1位指名した西宮出身の近大・佐藤輝に続き、地元の逸材に熱視線。阪神の補強戦略を左右する一戦は、午前9時プレーボールだ。

◆黒原拓未(くろはら・たくみ)1999年(平11)11月29日生まれ、和歌山・海南市出身。海南中から智弁和歌山に進学し、1年秋からベンチ入り。3年夏に甲子園出場。関学大では1年春からリーグ戦に出場し、今春は5勝をマーク。最優秀選手、最優秀投手、ベストナインにも輝いた。最速151キロで球種はカットボール、スライダー、チェンジアップ、スプリット。173センチ、71キロ。左投げ左打ち。