ソフトバンク東浜巨投手(30)が「日本生命セ・パ交流戦」の広島戦で先発し、今季初勝利を挙げた。7回4失点ながら、今季最多123球の熱投で味方打線の大量援護を呼び込んだ。昨年の開幕投手を務めた右腕は、右肩痛で出遅れていたが、今季3度目の登板でようやく白星を手中に。復活ロードを突き進み、チーム浮上の原動力となる。

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東浜は汗まみれになって、7回を投げきった。3回までは完全投球も、4回に西川から2ランを浴びるなど3失点。7回にも野間に適時打を許した。7回4失点と納得のいく内容ではなかったが、懸命に腕を振り続けた。今季3度目の登板でつかんだ初勝利。「投球内容からいえば、本当にここ(お立ち台)に上がっていいのかと思います」と苦笑いで振り返った。

昨年は自身初の開幕投手に始まり、チームは日本一。9勝2敗で防御率は2・34という数字を見れば華々しい1年に見えるが、悔しさが残った。ロッテとのクライマックスシリーズ後に右肩の不調を訴え、日本シリーズでは登板なしに終わった。

その後も不運が続いた。リハビリ中だった昨年末には新型コロナウイルスに感染し、調整が遅れた。4月に2軍で実戦復帰すると、いきなり初戦で打球が左足に当たり再離脱を余儀なくされた。「1軍の試合をテレビでしか見られない自分に、悔しい思いをずっと持って過ごしてきた」。1軍復帰への道が長かったからこそ「離脱せず最後まで投げられるように」と、残りシーズンを先発陣の中心で投げ抜く強い思いを持っている。

7カ月ぶり白星の右腕に工藤監督は「ひとつまず勝つことが何より大事」。東浜自身も「今日は勝ちを付けていただいた。気持ち的に落ち着けるというか、また次、頑張ろうというモチベーションに確実になる」。チームは引き分けを挟み、3連勝。東浜が白星を積み上げていけば、首位再浮上へ、そしてリーグVへの歩みは加速するはずだ。【山本大地】