2年目の日本ハム立野がマー君との投げ合いを制し、プロ初勝利を挙げた。ヒーローインタビューで記念ボールを左手で掲げた。「家族の方に送りたいと思います」。裕福ではなかった少年時代。2歳上の兄のどちらが中学のクラブチームに入るかを家族で話し合って「悩んで、僕に」。高校では腰と左目を故障し、野球を諦めかけた。プロでも1年目は2軍暮らしが続いたが、周囲に支えられてきた。「やっと…という感じですね。恩返しが今日できたのかな」と再び笑った。

ピンチの連続だった序盤を粘りの投球で乗り越えて5回3安打無失点。1軍3試合目の年俸1000万円右腕が、日米通算180勝の9億円右腕との先発対決でつかんだ待望の勝利が、チームにとっては今季72試合目で初の0封勝利だ。

13年の日本シリーズ第7戦で田中将が最終回を締めた場面を、よく覚えている。中学3年の時にテレビ画面越しに見ていた楽天生命パーク。「マウンドに立っているだけで球場の雰囲気を変えられる、すごいピッチャーだとあらためて感じました」と脱帽したが、マウンド上は1歩も引かない精神的な強さも見せた。

立野 相手のピッチャーが田中投手だった。投げ合っての初勝利は、自分の中では特別な勝利です。

立野が、苦しむチームの中で大きな光をもたらした。【木下大輔】(金額は推定)

▼2年目の立野がプロ初勝利を挙げた。この日の楽天は日米通算180勝の田中将が先発。田中将との先発対決でプロ初勝利を挙げたのは、田中将が新人だった07年6月20日上園(阪神)と11年5月6日牧田(西武)に次いで10年ぶり3人目。上園は当時通算4勝、牧田は当時通算48勝の田中将に投げ勝った。