あの「無死二、三塁」から、巨人がうっぷんを晴らした。初回から阪神先発の伊藤将からチーム55イニングぶりの適時打を含む、一挙4得点で攻め立てた。首位を走る阪神から主導権を奪うと、3回にゼラス・ウィーラー内野手(34)が2戦連発の10号ソロ。4回には坂本勇人内野手(32)が11号ソロでたたみかけた。首位阪神との3連戦初戦だった前夜は、反撃ムードが高まる7回無死二、三塁で無念の降雨コールド負け。ウルトラ倍返しで今カードの星を五分に戻した。

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雨雲が去り、青空が広がる甲子園で巨人打線が発動した。1回、1番松原が四球、坂本が左翼線二塁打で因縁の“無死二、三塁”を整えた。丸が冷静に四球を選び、無死満塁。1死後にウィーラーが伊藤将の高めに浮いた143キロ直球を右前へ。チーム55イニングぶりの適時打となる先制打で快勝への口火を切った。

一挙4得点の先制攻撃で前夜の悪夢を払拭(ふっしょく)した。9日のカード初戦は反攻への準備が整った7回無死二、三塁の絶好機も、雨雲に水をさされ降雨コールド負け。一夜明けたこの日、阪神を10安打8得点で沈めた。原監督は「そうですねえ。うーん、昨日の7回ぐらいから少し(打線)が動き始めましたね。それぞれがいい役割をしてくれたと思います」と、晴れやかに振り返った。

試合の悔しさは試合でしか晴らせない。前夜、先制点献上につながる失策を犯したウィーラーと坂本が汚名返上弾でやり返した。ウィーラーは先制打に続き、3回に来日から7年連続の2ケタ本塁打となる10号ソロを放ち、2安打2打点。「先制できたし、いい形で次につなげられて良かったよ。ホームランはうれしいけど、チームとして先に次の1点が取れたことが何よりだよ」と笑った。試合前にブルペンにこもり原監督から直接指導を受けた坂本は、4回の11号ソロを含む3安打で自身168度目の猛打賞。「何よりもチームが勝てたことが一番です。その中で得点に絡めたことは良かったと思います。一戦必勝、集中して戦っていきます」。1発の後はベンチ前で指揮官の前で脱帽して頭を下げた。

取り損ねた白星を奪い返し、やや湿りがちだった坂本のバットにも快音が戻った。首位阪神を猛追する“ウルトラ倍返し”でカード1勝1敗、今季同一カード7勝7敗の五分に持ち込んだ。2・5ゲーム差。虎を撃ち落とす機運が高まってきた。【為田聡史】

◆9日阪神戦VTR 3回にウィーラー、坂本の連続失策が絡み、先制点を献上。3点を追う7回無死二、三塁、反撃ムードが高まった中で雨脚が強まり中断。その後に雨脚は弱まったが、グラウンド整備等も考慮し、27分間の中断を経て審判団が協議した上で、雨天コールドを宣告した。原監督は「9イニングで勝負したいという、それはもちろんあるけれど致し方ないところでしょうね。グラウンド整備をする、いろんなことを考えると、従うというか、そういうことだよね」と話した。

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