虎の子1点で虎を沈めた。巨人が1-0の完封勝ちで阪神に競り勝った。8回に大城卓三捕手(28)が値千金の左前適時打で1点をもぎとった。先発高橋優貴投手(24)は7回1安打無失点の快投でハーラー単独トップの9勝目をマーク。女房役の大城が構えるミットに丁寧かつ、テンポ良く81球を投げ込み、猛虎打線を沈黙させた。敵地から価値ある2勝を持ち帰り、首位阪神と1・5ゲーム差に肉薄した。

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あの日、胸に刻んだ経験が巨人高橋の投球に幅を持たせた。この日、普段は140キロ中盤はマークする直球が140キロ前半止まり。「ひどかったです」と辛口採点する中、頭を切り替えた。「真っすぐがもちろん大事。でも、そういう時もある」と緩急を有効に使いながら、丁寧な投球を心掛け、7回1安打無失点でリーグ単独トップの9勝目を挙げた。

虎キラーの本領を発揮し、今季4戦4勝。甲子園に限れば、3戦3勝で19イニング連続無失点と無類の強さを誇る。振り返れば、甲子園で行われた3月14日の阪神とのオープン戦が飛躍への糧だった。5回1失点ながら、不安定な内容で2軍に降格した。期待の裏返しだったが、課題を直視し、ファームで調整。開幕ローテに滑り込み、4月5勝で月間MVPに輝いた。

父の影響を受け、子どものころから阪神ファンで藤川、金本に憧れた。かつて、応援に訪れたこともある甲子園。新型コロナウイルス感染拡大の影響で「ジェット風船は今はないですけど」と少し寂しそうだったが、毎試合の登板前に「7回まではマウンドには立ちたいなと思って」と掲げる7回を投げ、G党から拍手を浴びた。【久保賢吾】

▼巨人原監督(先発高橋の好投に)「粘りっこいピッチングをしてくれた。スピードガン的にはあまり出てないけれども、ボールの質は非常に良かった。今の位置にジャイアンツがいるのは、優貴の先発ピッチャーとしての貢献が高い」