夢の祭典でも、ラオウ弾で昇天ポーズだぁ! 全パのオリックス杉本裕太郎外野手(30)が、有言実行の球宴初アーチを描いた。

「本塁打だけ狙って打席に。完璧っす。打った瞬間入ると思った。自分以外のオリックスの選手が活躍して、居場所がなかったので打ててよかったです!」

1点を追う2回2死無走者で、中日柳の141キロ直球を左中間席へぶち込み「かわいい宮城が点を取られた後だったので取り返したかった」と後輩を思った。

球宴限定で「全打席本塁打狙い」だった。本塁打後にベンチ前で右拳を突き上げる「昇天ポーズ」を披露し「いっぱいカメラがあった。ここしかない! と思って長めに」と普段より5秒ほど長く“昇天”した。

打球速度は驚異の171キロを計測。怪力自慢の「ラオウここにあり」の1発だった。第1戦の試合前の本塁打競争では2発にとどまり、初戦敗退。緊張のあまり? 代打で球宴初出場した際は「間違ってマスコットバットで打席に…」と明かし、豪快に笑った。

仙台は第1歩を踏み出す地だった。「初ホームランも、この球場。好きな球場です」。ファンを魅了する一撃に加え、7回は痛烈な三塁内野安打。さらに右翼守備では6回にヤクルト山田の大飛球にジャンプしてフェンスにぶつかりながら好捕した。試合後は敢闘選手賞に選ばれ、「ラオウ」の名前を響かせた。

15年ドラフト10位の入団から6年目。遅咲きの努力の男は「もう(球宴に)悔いないですね。結果を気にせず楽しもうと思っていた」とラオウ節で、少年少女に大きな夢を見せた。【真柴健】