メジャー級のパワーで、推定飛距離130メートルのメモリアルアーチをかっ飛ばした。巨人岡本和真内野手(25)が6点を追う8回1死、DeNA桜井から左翼へ特大の30号ソロ。王貞治、松井秀喜に並ぶ、25歳シーズンで4年連続30本塁打を達成した。試合には敗れて2日連続で首位浮上は逃したが、MLBの主砲の動画鑑賞からもインスパイアを受ける若き主砲が、ここからアーチ量産体制に入る。

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打った瞬間だった。1歩、2歩。岡本和は大きく上がった打球を目で追いながら、確信歩き。6点を追う8回1死、DeNA桜井の内角直球をド級のパワーで左翼席上段へぶち込んだ。推定飛距離130メートルの特大アーチ。4年連続30本塁打を豪快なスイングで決めた。「毎年キャンプのときから30本は打ちたいと言っている。目標の数字なのでうれしい」。表情を変えずにゆっくりとダイヤモンドを1周した。勝利には結び付かなかったが、敗戦ムードだった東京ドームの重たい空気を切り裂いた。

メジャー級のパワーを秘める。185センチ、96キロの体格と強靱(きょうじん)な下半身から生み出される豪快なスイングだが、理想はまだ先。たどり着くために興味の矛先を向けたのは、MLBスター選手のスイングだった。“おうち時間”では「アクーニャ(ブレーブス)にゲレロ(ブルージェイズ)もそうですし、タティス(パドレス)も。ほぼ全員、見ます」とYouTubeにくぎ付け。

良いと思ったものは、積極的に取り入れて、試してはみる。「自分のフォームって格好良いと思わない。ようこんな打ち方で打てるなと思う」から。ただ、刺激は受けるが、流されないのが岡本和らしい。「誰かのまねしているイメージでも、結局、映像を見たら自分の打ち方なんで」。根幹のスイングはブレることなく貫く。その上で、小さな試行錯誤から一層一層厚みを増していく。日々の積み重ねで22歳シーズンから4年連続で大台にたどりついた。

「巨人の4番」という重圧にさらされる日々を全うし続け、偉大な先人たちに肩を並べた。その1人でもある原監督からは「見事ですよ。僕よりはるかに素晴らしいバッターですね」と称賛された。今季は46本塁打、130打点ペース。「まだまだ試合は続く。もっと打って首位に立ちたい、優勝したいと思う気持ちが強い」。25歳。誰も見たことがない歴史を築く。【小早川宗一郎】