阪神が大敗で、再び首位陥落の危機に直面した。DeNAに無傷の3連勝だった伊藤将が3回5失点KOと誤算。打線も4安打で2得点と反発力に欠け、3回途中から8回までは18人連続凡退とさっぱり。おまけに相手の牧に史上初の新人サイクル安打を許した。連勝は2で止まり、2位巨人とのゲーム差は再び1に縮まった。26日の結果次第では4月4日から守る首位の座が危うくなる。

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上位3チームで阪神だけ黒星となる痛い1敗となった。「そういうところで粘れないのが、こういう試合になっちゃうよね」。矢野監督は一番の敗因に投手大貫に許した先制2点適時打を挙げた。2回2死満塁。8番大和を申告敬遠し、今季この打席まで19打数1安打、打率5分3厘だった大貫と勝負。しかし伊藤将は粘られた末、6球目ツーシームを一、二塁間へもっていかれた。指揮官は「そら痛いわな。一番(アウトに取る)確率が高いところで。普通にやって打たれるわけないんだから」と深く嘆いた。伊藤将は続く3回、牧に14号3ランを浴び自己最短3回で5失点KO。今季DeNAに好相性だったが、打ち込まれた。

それでも3回、伊藤将の代打北條の四球から近本、中野の連打、相手のミスなどで2点を返し3点差。さらに無死二塁でスタンドも盛り上がったが、サンズ、大山はともに直球を見逃し三振。佐藤輝も二ゴロと主軸が凡退した。「紙一重というか、あそこでババッといければ相手もすごく嫌な感じになった。そういうところで打ってくれないとチームとしてムードが一気に上がって活気づくことにはつながりにくい」。これで大貫にはサンズが11打数2安打、大山が11打数無安打、佐藤輝も9打数1安打と苦手ぶりを深めたが、3回はここぞの場面だっただけにつなげてほしかったはずだ。

現在のブルペン陣にはビハインドの展開で打線の反撃を粘り強く待てるロングリリーフがいない。2番手斎藤が4回に登板したが、43球を費やし3失点と反攻ムードを薄めてしまい、ルーキー牧にはサイクル安打と大暴れを許した。サイクルを決められた9回の三塁打は右翼線にポトリと落ちる当たり。右翼の佐藤輝がファウルと判断したのか、打球をゆっくり追って結果的に三塁打をアシストする格好となってしまった。

これまで12度首位陥落の危機を免れ、守り続けてきた。3位ヤクルトも接近してきているだけに、厳しい戦いは続く。26日は前半戦6勝1敗のガンケルが後半戦初先発。しっかりと白星をつかむ。【石橋隆雄】