反撃の旗手だ。広島会沢翼捕手(33)が31日のDeNA戦(横浜)で2戦連続の先発マスクをかぶることが濃厚となった。

先発する森下とは昨年7月31日巨人戦以来のバッテリー。復帰戦の29日阪神戦(マツダスタジアム)ではゼロ封勝利に導くなど、攻守両面で存在感を示した。残り47試合、頼れる正捕手を中心に巻き返しを期す。

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追い上げの旗手に期待だ。1軍復帰したばかりの会沢が31日DeNA戦も、先発マスクをかぶることが予想される。会沢と森下のバッテリーは昨年7月31日以来となる。昨季5試合で2勝2敗、防御率2・56。会沢の復帰に、森下は「会沢さんがいることで、打線の厚みもそうですけど、どっしり感といいますか、締まる感じがあります」と頼もしさを感じている。

75日ぶり1軍復帰の29日阪神戦では攻守両面に存在感を示した。先発床田ら投手陣を好リードし、ゼロ封勝利に導いた。佐々岡監督も「やっぱりさすがだったね。チームが引き締まるし、アツの力は、さすがです」と最敬礼。坂倉と石原で分け合っていた先発マスクは今後、実績ある会沢を中心に回りそうだ。

会沢の存在感は、試合だけではない。練習前から選手会長の田中広や堂林が歩み寄り、練習中も野手主将の鈴木誠と話し込む姿が見られた。投手主将の大瀬良は「アツさんも帰ってきて、いい雰囲気になると思う。昨日もピッチャーを引っ張ってくれて、いい形で完封で勝てましたし、ここから乗っていければ」と流れが変わる期待を口にした。

長いペナントレースでは3連戦や6連戦の初戦は正捕手が一連の戦いを想定して先発マスクをかぶることが定石とされるが、今年は会沢を6連戦初戦に先発させたのは、6月8日からの9連戦初戦しかない。日替わり捕手ではチームとしての組み立ては難しくなる。経験ある会沢には、6連戦の流れをつくるリードも求められる。

チームは4連勝で4位タイに浮上した。3位阪神には、まだ13ゲーム差もある。それでも会沢はファイティングポーズを崩さない。「野球は何が起こるかわからない。最後の最後まで諦めず一丸となってできたら」。シーズンはまだ47試合残されている。チーム全体が同じ方向を向き、一戦必勝の姿勢を貫く先にしか光は差さない。【前原淳】