西武栗山巧外野手(38)が通算2000安打を決めた。西武では球団初となる生え抜きでの達成。プロ20年目で偉業を成し遂げた。

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いつもそこにいた。

試合がない日の西武を取材する時は、第2球場に隣接した旧室内練習場に立ち寄った。そばには若手が住む旧若獅子寮。休日でも4年目の松坂大輔ら主力選手が現れればもうけ物。めったにない幸運を求めて、練習場前のベンチでぼんやりしていた。2002年の春だった。

薄暗い室内からマシン打撃の音がする。打っているのはドラフト4位ルーキー栗山だ。左打席で、右足をぴょこんと上げる。不格好な1本足打法から快音は響かない。黙々とどん詰まりを繰り返していた。兵庫・育英2年の時に甲子園で活躍したそうだが、打力はさほどでもなさそうだ。

日高中津分校からやってきた長距離砲・垣内哲也、野手としての実績はなかったPL学園・松井稼頭央と伊丹北・中島裕之…。当時、関西から西武にやってくる選手は大器が続いた。栗山と同期の大阪桐蔭・中村剛也は体形だけで、早くも異彩を放っていた。栗山も何かあるはずと2軍首脳を取材した。足は「普通」、守備と肩も「普通」。それでも目立つ。室内練習場にいつもいた。レギュラーになって、後輩記者が書く栗山の記事のエピソードも、練習にまつわることが多かった。

数年前、観客としてレフトの守備がよく見える、最前列に家族と陣取った。気付いた栗山が、帽子をとって一礼してくれた。栗山はいつもいる。長くコツコツ努力するのも才能ならば、これほどの大器はいない。答えはそこにあった。【久我悟】

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