楽天打線に、大黒柱が帰ってきた。浅村栄斗内野手(30)が8日、日本ハム20回戦(札幌ドーム)で「2番DH」で4戦ぶりのスタメン出場。7回の第4打席で左前打を放ち、23打席ぶりの安打をマークした。東京オリンピック(五輪)で侍ジャパンの金メダルに貢献も、後半戦は不調に陥った。それでも復調気配を見せ、打線も今季最多16安打で8得点。首位ロッテ、2位オリックスを2・5ゲーム差で追うチームに、光をさした。

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やっと出た。浅村が23打席ぶりに電光掲示板に、Hマークをともした。7回1死。カウント2-2から宮西のスライダーに食らいついた。やや泳ぎながらも粘り、きれいに三遊間を抜いた。4戦ぶりのスタメンで安打を放っても「いつも通りの気持ちで試合に入りました」と高ぶりはない。表情を変えずに一塁に立ち、すぐに前を向いた。

快音が遠かった。打率2割9分3厘で東京五輪へ向かい、後半戦開始直後も安打を重ねた。だが、8月29日ロッテ戦から4戦連続無安打。9月4日西武戦で加入3年目で初のベンチスタート。球団最多の連続スタメン出場は、366でストップした。3戦に代打出場も2打数無安打。それでも、7日日本ハム戦で11打席ぶりの出塁となる四球を選び、石井一久GM兼監督(47)も「うまく出塁することができた。(状態は)よくなってきている」とスタメン復帰を決断した。

存在感は桁違いだ。浅村は7月10日以来約2カ月ぶり、今季5度目の2番に座り、4打数1安打。指揮官は唯一無二の信頼を置く。

「結果以上に、打席の中で雰囲気を感じました。打線の中に名前があるというのは、非常に相手チームに与えるプレッシャーも違うし、4割1分も2分も出塁する打者はうちのチームで彼だけ。代わりはいない」。

この日3安打4打点の鈴木大地内野手(32)も口をそろえる。

「やっぱりアサがいないと。アサがいることで本当に僕らは勇気づけられる。大事な試合を迎える中、チームが本当に1つになっていくので、アサの存在はすごく大きいです」。

浅村に代わって4日から二塁でスタメン起用される山崎剛は、4戦連続安打と結果を出し、チームに厚みをもたらした。ただ、大混戦の優勝争いを最後に抜け出すためには、チームの危機を何度も救ってきた、主砲の復調が必要だ。【桑原幹久】