大化けの予感だ。阪神ドラフト3位佐藤蓮投手(23)が、2軍練習試合オリックス戦(オセアンBS)に先発し、5回無四球無失点と完璧な投球を見せた。

安打は初回に許した2本のみ。この日最速151キロの直球にスライダー、落差の大きなカーブを織り交ぜ、2回以降は走者を許さなかった。

成長のため変化を恐れない。1日の練習中のキャッチボールで試した2段モーション気味のフォームを、ぶっつけで実戦解禁した。

「そっちの方が自分の中でもバランス、タイミングが合っているなと思ったので。変化球もしっかりコントロールできて、それが良かったかなと思います」

今季ウエスタン・リーグでは16試合で34回2/3を投げ33四死球。課題だった制球の不安定さが、パッと消えた。「今までは足を上げた時に止まるというか、そこからまた投げにいっちゃうので変なところで力が入っていた」。2段モーションを導入し、うまく力を抜くことを覚えた。「ちょっとやってみよう」から始まったアイデアが、見事にハマった。

20年ドラフト3位で上武大から入団。188センチ、101キロから繰り出す最速155キロの直球が魅力だ。制球の安定とともに、本来の武器も失われていない。この日も直球は常時140キロ台後半をマーク。「素材型」として期待される大器に、早くも覚醒の予感が漂う。

平田2軍監督も「楽しみが増えちゃったね」とホクホク顔だ。11日から開幕するフェニックス・リーグでさらに実戦を積み、新フォームに磨きをかけていく。

「前半戦はコントロールもバラついて打たれたりして思うように投げられなかったんですけど、最後の方で徐々に自分の感覚も良くなってきて、いい感覚ではある。まだフェニックスもいっぱいあるので、どんどん自分がレベルアップしていくために、いろんなことを試してやっていきたいと思います」

同期入団のドラフト1位佐藤輝に負けず劣らず、スケールの大きな右腕が飛躍の秋を目指す。【中野椋】