勝負をかける時が来た。ヤクルト高津臣吾監督(52)が、積極的な選手起用で18年以来のクライマックスシリーズ(CS)進出に導いた。

今季これまでは選手の疲労や状態を考慮した起用を続けてきたが、3位巨人との対戦で前日の小川に続き、先発サイスニードを中5日で送り出した。助っ人右腕は5回無失点と好投。以降は勝ちパターンのリリーフを惜しみなくつぎ込み、5投手で0封リレー。5連勝を飾り、明日8日にも優勝マジックが点灯する。

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9回2死、右飛で打ち取ったのを見届けると、高津監督は両腕を突き出した。優勝を占う巨人阪神6連戦。連勝スタートを切り、表情をほころばせた。3年ぶりのクライマックスシリーズ進出決定。「全力で戦っている結果、成果だと思う」と前を向いた。

目指すのは6年ぶりの優勝のみ。指揮官は仕掛け始めた。チーム117試合目、9月26日の先発石川で初めて中5日を解禁。巨人3連戦は前日5日の小川、この日のサイスニード、7日予告先発の原とすべて中5日で投入した。「この6連戦をすごく重要視と言いますか。みんな頑張ってもらう1週間だと思うので、先発ピッチャーには無理してもらって」と説明した。

“温存”の考えはリリーフ陣も同じ。1日からの広島3連戦では僅差の場面でもセットアッパーの清水と守護神マクガフを登板させなかった。「乗り越えなきゃいけない、戦っていかなきゃいけないというところの選択」。勝ちながらも休養を第一に考えた。

それだけにスイッチが切り替わったのを選手たちも感じ取った。先発サイスニードは5回90球を要しながら無失点と粘りの投球。6回から石山、今野、清水、マクガフが無安打投球で巨人打線を完全に封じた。

2カ月ぶりに神宮に戻った9月11日には正念場を想定し「勝つためには歯を食いしばるとか、こちらが尻をたたくとか。そういうことは必ずある」と話していた。貯金を今季最多21に伸ばすも2位阪神とは1差のまま。負けられない試合は続く。残り18試合。だからこそリミッターは全解除。

日米通算313セーブの指揮官は「リリーフは毎日投げる覚悟でマウンドに上がってくれていると思う。勝つことしか考えていない。どんな手を使ってもと言ったらあれですけど、出し惜しみすることなく、悔い残すことなく全力で戦いたい」と闘志を燃やした。【湯本勝大】