新人最速2桁勝利へ4度目のチャレンジとなった日本ハム伊藤大海投手(24)だったが、またも10勝目を逃した。

初回は適時失策で先制点を献上。打線が2、3回に1点ずつを挙げて1点リードとなった3回は杉本に同点30号ソロを浴びた。4回に野村の勝ち越し5号ソロで再びリードしたが、その裏に再び同点とされ、5回はモヤに適時打を浴びた。1点ビハインドのまま、6回6安打4失点(自責3)で降板となった。球団を通じて「味方に点を取ってもらってすぐに相手に点を与えてしまうなど、先発として流れをつくり切れなかったことが全てだと思います。またふがいないピッチングになってしまい、チームに申し訳ない気持ちです」と、コメントした。

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肝っ玉ルーキーは先発前日に素直に告白していた。「体は疲れていないんですけど、心が疲れています」。東京五輪での奮闘もあった、初体験となる長丁場のシーズン終盤。2桁勝利に王手をかけてから3度の足踏み。純粋に勝ちたいからこそ、悩む。「なんだろうと思い出すときりがない。なるべくそれは考えないようにしています」としたが、思い直したように言葉は続いた。

伊藤 どうしてもチームの代表として投げるとなったら、そこは考えないといけない。そこと向き合っていかないといけない立場。しっかり切り替えて登板するようにしています。

日本ハムのエースを目指す男の思考は1歩先を行く。いずれ向き合わなければいけないこと。1年目だからと逃げるつもりはない。

伊藤 何も得ることなく10勝してしまうのと、いろいろ試行錯誤してつかみ取る1勝では、その先に大きな違いがあると思う。

この日も10勝の壁を乗り越えるために初回から直球中心の攻めの投球で飛ばしたが、相手も負けられない首位オリックス打線。簡単にはねじ伏せられなかったが、この経験値が先の伊藤を大きく成長させていくはずだ。【木下大輔】