矢野スペシャル不発…。2位阪神は8回に及川がDeNAソトに逆転2ランを浴びて、連勝が5でストップした。被弾前に矢野燿大監督(52)がマウンドに行って及川に奮起を促したが、結果につながらなかった。首位ヤクルトが巨人にサヨナラ勝ちしたため、2ゲーム差に拡大。阪神はそのヤクルトと8日から神宮で3連戦。1分けでもすると自力Vの可能性が消える。正念場を迎えた。

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中堅近本も追うのをやめて白球を見上げるしかなかった。8回、ソトに痛恨の逆転2ランをバックスクリーンへ突き刺された。低めを狙ったツーシームが高く浮いた。打たれた及川は口をグッとかんだ。

ソトを打席に迎えた1点リードの1死二塁。マウンドへ矢野監督が自ら足を運んだ。7月3日広島戦で伊藤将に対し、就任3年目で初めて行って以来、2度目。及川に「思い切っていけ。ここで投げさせていいって思って、オレはお前を使っているから」とゲキを飛ばした。最も避けたい結末となったが、指揮官は「結果、打たれちゃったけど。オレの中では思い切って勝負に行けというところの結果なので」と受け止めた。

本来の「8回の男」の岩崎は前日6日まで4試合連続無失点。55試合のスアレスに次いで多い54試合に登板しており、3連投を避けて温存していた。代役に指名した高卒2年目左腕及川は今季3敗目となったが、34試合で2勝9ホールドと成長著しい。矢野監督は「この悔しさを今後につなげていってくれたら」とたくましくなることを望んだ。

試合後、チームが横浜から東京へ移動する中、首位ヤクルトがサヨナラ勝ちで6連勝を飾った。阪神もその間5勝1敗。いよいよ8日から2ゲーム差で首位決戦3連戦を迎える。「もちろん1個の勝ちも負けも大きい。特別なことは何もできないかもしれないけれど、オレらが今までやってきた野球を思い切りぶつけることしかできない」。気負うことなく今季貫いてきた全員野球で挑む。

3連戦で1試合でも引き分け以下になると、自力優勝の可能性が消滅する。「直接対決でしか、上にいくチャンスは現状少なくなってきている。明日、まずしっかり取れるようにやっていきます」。その初戦。3連勝、2戦連続完封の救世主高橋を中5日でマウンドに送る。相手は今季8勝の奥川。対戦4試合では1勝1敗。防御率2・16。残り14試合、逆転優勝へ力を振り絞る。【石橋隆雄】

▼2位阪神が敗れ、首位ヤクルトが勝ったため、8日にも阪神の自力優勝の可能性が消滅する。ヤクルトとの直接対決3連戦で、1敗か1分した時点で消滅。8日に負けた場合はヤクルトにマジック11が、引き分けた場合でも12が点灯する。自力優勝消滅を避けるためには、この3連戦で3連勝するしかない。

◆矢野監督就任初のマウンド猛ゲキ 7月3日広島9回戦(マツダスタジアム)。2点リードの7回2死満塁で先発のルーキー伊藤将に駆け寄り、「お前に任せたぞ!」と闘魂を注入。伊藤将は代打松山を二ゴロに封じ、ヤマ場をしのいだ阪神が勝ち切った。引退試合などでマウンドに向かうことはあっても、ピンチの場面では就任3年目で初めてだった。