引退試合を終えた西武松坂大輔投手(41)は試合後、1人で場内を1周した。日本ハムのヒーローインタビューが終わると、三塁側ベンチから左翼方向へ進み、そのまま時計回りにグラウンドを歩いた。帽子を手に取って、スタンドに手を振った。時々、頭を深々と下げ、応援し続けてくれたファンの人たちへ感謝を示した。

一塁側の日本ハムベンチ前では、この日対戦した近藤や万波ら横浜高の後輩たち、栗山監督と握手。その後、マウンドへと向かった。涙を流し、しばらくうつむいた後、ひざまずき、プレートに手を置いた。「これまで投げてきたピッチャーズマウンドに対してありがとうございましたという思いを伝えさせてもらいました」。別れの儀式だった。

西武ベンチの前に戻ると、辻監督はじめ一列に並んだナイン1人1人と握手。最後は、ナインの手で胴上げ。「あまり胴上げは怖いのでされたくないと思っていましたけど、同い年の(赤田)ショウゴに背中押されて、行くぞって言われてやってもらったんですけど、日本ハムファイターズにいる横浜高校の後輩のみんなも来てくれてうれしかったです」。5度、宙に舞った。

「スタートがライオンズで最後もライオンズの選手で終えられて本当によかったと思います。この2年は何もすることができなかったですけど、最後にこういう舞台を用意してもらって感謝しています」。万感の思いでユニホームを脱いだ。