ロッテがサヨナラ勝利で優勝マジックを4に減らした。3-3の9回無死満塁、荻野貴司外野手(36)がサヨナラ適時打で決めた。力投の佐々木朗希投手(19)に白星こそつかなかったものの、逆転優勝へ負けられない状況でスローガン通り、チーム一丸で1点をつかみ取った。まずは84、85年以来となる2年連続での2位以上が確定。残り5試合に全てをぶつけ、51年ぶりに勝率1位でのリーグVをつかみ取る。

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何度もこなして、団体芸になりつつある。荻野のサヨナラ打の瞬間、三木だけがベンチ裏へ消えていく。角中や益田が四方からヒーローに水をかけ、8秒後、三木が赤いバケツをかついで現れた。ためらわず、氷水をぶっかけた。

「すごくうれしかったですけど、すごく寒くなってきている時期なので、けっこう冷たかったです」

今季4度目のサヨナラ勝ち。荻野はチームやスタンドの歓喜を眺め「本当に、全員でつかんだものだと思うのでホッとしてます」と喜んだ。9回、日本ハム杉浦から今季2発のミラクル岡が四球を選び、藤岡と加藤の犠打がともに相手のミスを誘う。無死満塁でカウント3-1。荻野が5球目を冷静に流した。「もっとかっこいい感じの打球をイメージしてたんですけど、すごく渋い打球になってしまって。それも僕らしいのかな」と照れた。

継続は力なり。2月の石垣島キャンプから、何百回と備えてきた。トスされたスポンジボールに、バットのヘッドを返さず、ただ当てるだけの練習を続けた。「秘密です」。意図は明かさないものの、軌道をイメージしながら多様なトス打撃で固め、36歳になる年に1番打者でフル出場。リーグトップの安打数に、盗塁王までも見えてきた。

9回表をゼロに抑えた時点でM4は決まった。それでも「チームが明日にこの勢いのまま行けるので。気持ち的には全然違うと思います」。サヨナラ勝利が生む流れにこそ価値がある。氷水を浴びるリードオフマンの横ではなぜか、加藤が田村に水をかけられていた。同点の失策をしたレアードは「ごめん」とばかりに佐々木千に水をかけ、自身の白星が消えた佐々木朗はレアードに水をかけ、笑って水に流した。おとなしいロッテはどこへやら。これを、続ける。【金子真仁】

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