ロッテ荻野貴司外野手(36)がプロ12年目にして自身初の全試合出場を果たし、最多安打と盗塁王のタイトルを獲得した。

「今まで全試合出場というのを目標にしていたんで、それに関しては本当に良かったなと思います。途中はやっぱりしんどい時もありましたけど、終わってみればなんかあっという間だったなという感じですね」

そう、かみしめるように話した。疲れたらケア、また疲れたらケア。その繰り返しで完走した。ヤクルト、広島があと1試合残すものの、643打席は両リーグ最多が決定的だ。

169安打を連ね、この日の1安打が盗塁王獲得に直結した。3回、内野安打で出塁し、2死一、三塁となったところで初球から二盗に成功。チームメートの和田らと24盗塁で並んだ。

「昨日、後ろの(藤原)恭大と(中村)奨吾がけっこう(打席で盗塁を)待ってくれてたんですけど、なかなかスタート切れなくて、ちょっと申し訳ないなという気持ちもあったんで。(今日の盗塁を)決めたことより、昨日スタートを切れなかったことがすごく反省点というか、自分の実力のなさを実感しました」

謙虚に振り返りながらも、卓越した技術で2つのタイトルを手にした。「あまり実感がないんですけど、それよりも個人としてしっかり最後までやりきれた達成感のほうが大きいかなと思います」と、何よりもシーズン完走を喜んだ。

ゴールはまだ先だ。中6日でポストシーズンがやって来る。「チームとして優勝できなかったのは本当に悔しいですし、決して2位には満足してないので。残りCS、日本シリーズがあるので、そこに向けて」。あらためて、勝つ意識の共有を。荻野はそれを「団結力」と表現した。【金子真仁】