下克上への秘策は…先制“口”撃!? 楽天石井一久GM兼監督(48)が5日、6日から始まるロッテとのクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ(ZOZOマリン)の前日会見に臨んだ。指揮官として初の短期決戦を前に、リーグ戦で9勝15敗1分けと苦戦したロッテ井口資仁監督(46)へ言葉で揺さぶりをかけた。また、相手先発の163キロ右腕・佐々木朗希投手(20)攻略に、積極策を掲げた。

いきなり、かました。CSファーストステージの前日会見。あいさつを振られた石井GM兼監督がマスクを外し、マイクを持った。「ロッテさんは本当に手ごわい」。真剣な表情のまま、張り詰めた空気を変えた。「ただ、自分自身、千葉県出身。3連戦の頭に少しではございますが、ロッテのお菓子の詰め合わせもいただけるので、思い入れのあるチームだと思っています」。笑いを起こし、主導権を握ると「井口監督はいつもりりしい。明日も何とかその表情を崩せるように頑張ります」とたたみかける。敵将に苦笑いを浮かべさせ“先手”を奪った。

グラウンド内でも「先制攻撃」がカギを握る。相手先発は剛腕の佐々木朗。今季は3戦0勝1敗、打率1割3分2厘と苦戦したが、舞台はCSに変わる。“秘策”もある。右腕の今季4球目以降の被打率は1割6分4厘(122打数20安打)に対し、3球以内では2割7分2厘(114打数31安打)と跳ね上がる。指揮官も「受け身にならず、襲いかかることがすごく大事」と好球必打、積極的な打撃の重要性を説く。

短期決戦は現役時代に何度も経験したが、指揮は初めて執る。「1点の重みは確実に違う。選手が勢いを持って試合に出られるような形を作ってあげたい」と心に熱さを持ちつつ、「背中を押しすぎると転んじゃう。いい程度に押せたら」と頭は冷静だ。会見後の前日練習では自らの足でグラウンドを回り、所々で選手へ言葉をかけた。143試合をかけて積み上げた選手への信頼を再確認した。

泣いても笑っても、残り試合数はわずかだ。「失敗しちゃいけないとあまり考えないでほしい。成功するものも成功しない。ぐずぐず引きずることも、深く反省する時間もない。恐れることなく、攻撃的にいかないといけない」。3位からの下克上へ、失うものは1つもない。まずは“令和の怪物”撃破へ、攻めて、攻めて、攻めまくる。【桑原幹久】