走った!転がした!打った!主砲不在の巨人が“1Team打線”で難敵を打ち砕いた。リーグ戦2試合で16回無得点に封じられていた阪神高橋を5回にようやく捕まえた。

口火を切ったのは、415日ぶりに4番に座った丸だった。一、二塁間にゴロを転がすと、一塁にヘッドスライディングで飛び込んで内野安打を奪いとった。「体が勝手に反応した。あまり(やった)記憶がないですね」。勝利への執念が体を突き動かした。

続くウィーラーは来日7年目にして初犠打を敢行。不慣れながらも絶妙なバントに盛り上がりムードはどんどん加速すると、中島が右前打で一、三塁。阪神ベンチがタイムをかけた間に、次打者吉川は阿部1軍作戦コーチから「思い切っていけ」と耳打ちされた。言葉通りに1球目、2球目と強振してファウル。1球見極めて、4球目の外角低めカットボールをうまく拾って中前に運んだ。一塁で吉川が、生還した丸が、そして三塁側ベンチが一斉に拳を掲げて感情を爆発させた。高橋から今季21イニング目にしてスコアボードに「1」を刻んだ。原監督も「先手を取れたというところが非常に大きかった」とポイントに挙げた。

岡本和の欠場は直近2年でわずか3試合目。4番を託された丸は重圧を背負いながら結果を残してきたリーグ2冠王を「本人が一番悔しいと思う。みんなが感じ取りながら、背負いながらやれたら」と思いやった。ともに、強く。「1Team」で下克上へと好発進した。【小早川宗一郎】

▽巨人吉川(5回の先制適時打を含む2安打の活躍)「皆さんがつないだチャンスだったので、何とかという気持ちだった。(岡本)和真の穴を埋めるのは難しいけど、全員で一丸となって臨んでいきたい」