巨人戸郷が粘投で敵地甲子園の運を味方につけた。

3回から昨年の日本シリーズ以来のリリーフ登板。毎回走者を背負うも、踏ん張った。3回3安打2四球無失点。「ピンチがいっぱいあったけど、粘れて良かった」と安堵(あんど)した。

漫画「巨人の星」の「大リーグボール1号」を現実にやった。5回2死二塁、阪神梅野へ抜けた球がグリップエンドに直撃して捕ゴロ。「初めて見ました。今日はラッキーでした」。3回は1死一、二塁のピンチを三塁手若林の併殺で切り抜け、4回は丸が好プレー。小さな吉が重なった。

9月、戸郷は悩んでいた。自己ワーストとなる7戦勝ちなしのトンネルに迷い込んだ。勝てない。同月上旬、原監督の「今まで勝ってる神様にもう1回拝んできたらどうだ」という言葉を思い出した。普段は大好きな睡眠休息に費やす休日に、愛車ジャガーを走らせた。スポーツ振興の神と呼ばれる「亀戸香取神社」でお参り。おみくじもひいた。「小吉でした。でもそれからあまり負けなくなった。良かったかな」。潮目を変えるために、やれることをやってきた。約2カ月後の大一番。勝利の女神は戸郷にほほ笑んだ。【小早川宗一郎】