「SMBC日本シリーズ2021」が開幕し、オリックスが劇的な逆転サヨナラで白星発進を決めた。

2点ビハインドで迎えた9回、無死満塁の好機をつくると、宗佑磨内野手(25)が守護神マクガフから中前に同点タイムリー。続く吉田正尚外野手(28)が中越え二塁打を放って試合を決めた。ミラクル・オリックスに京セラドーム大阪はお祭り騒ぎ。目指す25年ぶりの日本一へ弾みのつく先勝だ。

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4冠右腕がペットボトルを抱え、一塁側ベンチを飛び出した。オリックス山本由伸投手(23)がウオーターシャワーの祝福に加わる。ヒーロー吉田正、まわりを囲むチームメートに浴びせた。「こういうのが今年の強さ。終盤の粘りですね」と声が弾む。勝利は山本につかなくても、浮かべた笑顔は勝利投手のものだった。

16連勝は5月28日のヤクルトに始まり、ヤクルトで終わりかけた。奥川との投げ合いで、先に失点したのは山本。6回、山田、サンタナへの四球で1死一、二塁のピンチを招き、中村に先制打を許した。

「納得いくフォームで投げられずにダラダラいってしまい、途中まで粘れたけど、最後に打たれて悔しいです」。6回9奪三振1失点。先発の役割を果たしても、相手に先制を許したことをエースは悔やんだ。

小学校1年生で出会った野球。プロ野球選手を目指し、日本一を求めた。右腕を振り続け、17年でついに日本シリーズにたどり着いた。「野球人生初の経験なので、楽しむことを忘れず、思い切ってやりたいです」。その一心で頂上決戦開幕のマウンドに立った。

勝利だけを期待する周囲の思いを受け止め、中盤まで投げ抜いた。ビハインドで降板しても、7回にモヤが同点弾で負けを消し、最後は吉田正らが勝利を運んでくれた。山本が投げる試合、やはりバファローズは負けない。これでエースの登板試合は13連勝だ。次回は27日予定の第6戦が予想される。出番が回れば、日本シリーズ初勝利に再挑戦する。【堀まどか】

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