「ここ一番の宗」が最終回に本領を発揮した。2点を追う9回無死満塁で、オリックス宗佑磨外野手(25)がヤクルトの守護神マクガフから千金の同点打。カウント1ボール2ストライクからの変化球を捉えて中前に運び、試合を振り出しに。吉田正のサヨナラ打を呼び込んだ。

「福宗正杉」と呼ばれるリーグ王者の打線。「後ろに(吉田)正尚さんとかラオウさんがいたので、別に三振OKのつもりで、当てにいかないように心がけました」。頼もしい中軸の前を打つ強みを、最大限に発揮した。

同点の8回、ヒギンスが村上に勝ち越し弾を浴びても、今のオリックスはあきらめない。「それも野球だし、日本シリーズ1位同士の戦いなんで、もうゲーム勝つしかないと思って、9回全員が最後まで諦めずに戦っていったんで、すごいつながりできたんじゃないですかね」と宗はチームの思いを代弁する。

ドラマチックな活躍が、今や代名詞になった。10月12日ロッテ戦では8回に同点2ランを放ち、打った宗も打たれた小島も涙。今月12日のCSファイナルステージ、ロッテ戦の岩下からの2ランは、日本シリーズ進出につながった。

故障に苦しんだシーズン序盤。連日、自宅を訪れてマッサージをし、手料理で励ましてくれた母ミカさんの優しさが支えだった。「ぼくが頑張ることが、元気でプレーすることが一番うれしいことだと思うので」。リーグ優勝が決まったときの、母の笑顔が忘れられない。「優勝してまた喜んでもらいたい」。勝利を呼ぶ全力プレーは、そこが原点だ。

「すごくチームにとって勢いの出る初戦の1勝だと思いますし、相手もあることですけど、しっかりいい戦いをチームでやっていきたいと思います」。より絆を強めたバファローズ。その中心に、宗がいる。【堀まどか】

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