パパで勝った! ヤクルト青木宣親外野手(39)が、19歳年下のオリックス宮城大弥投手(20)から決勝打を放ち、チームを勝利に導いた。

家族に支えられてグラウンドで戦う毎日。家族の心に刻むプレーを目指し、大一番で勝負強さを発揮した。チームを日本一に導き、最高のプレゼントで恩返しする覚悟だ。

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均衡を破った瞬間、青木は、右腕を思いっきり振った。0-0で迎えた8回2死一、二塁、1ボールから内角の直球を詰まりながらも中前に運んだ。「どう考えてもあの場面は何とかしたい場面だったので、勝つにはあそこで打つことだと思った」。全神経をバットに集中させ、先制となる決勝打。高ぶる感情を爆発させた。

19歳年下をとらえたヒーローは、かっこいいパパであり続ける。「子どもに関しては、年齢的にも記憶に残るようになってきた。今までは分かっていないような感じだったが、今はしっかり記憶として残っているような気がする。いいところを見せたい」と意気込んだ。39歳とベテランの域に達した。長く活躍しているところを見せようと、貪欲に練習に励む日々。手を抜かず、妥協せず、結果を追い求めてきた。

今年は壁にぶつかることもあった。コロナ禍の1年。家族には心配をかけた。「子どもが風邪ひいたりしたら、生きた心地がしなかった。奥さんもヒヤヒヤしていた。PCR検査を受けた方がいいとか、濃厚接触者になってしまったらとか。ヒヤヒヤさせて、いつも以上に神経をとがらせるような、そういう年だった」と振り返る。3月30日には、新型コロナウイルスの濃厚接触者に認定され、自宅隔離を経験した。子どもたちに抱きつくことも、触れることもできない。話すことさえも自粛した。それでも家族からは「頑張って」「体大丈夫」とエールを受ける毎日。佐知夫人に対しても「いつも変わらず毎日を迎え入れてくれるので、そこはもう本当に感謝しかない」と打ち明けた。

だからこそ、恩返しとして、20年ぶりの日本一を届けたい。第2戦の勝利に導き、チームは1勝1敗のタイ。移動日を挟んで、23日から東京ドームでの戦いが続く。「このプレッシャーを意気に感じてプレーしたい」。すべてを力に変えたパパの姿を、今季の集大成で発揮させる。【湯本勝大】

▼39歳10カ月のヤクルト青木宣親外野手が8回に決勝の適時打。39歳以上でV打を記録したのは、12年<3>戦の稲葉篤紀(日本ハム=40歳2カ月)以来6人、8度目。ヤクルトでは92年<1>戦で代打満塁サヨナラ弾を打った杉浦(40歳4カ月)に次ぐ年長2位の決勝打となった。

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