DeNA佐野恵太外野手(26)が26日、横浜市内で契約更改し、年俸7000万円から4000万円増の1億1000万円でサインした。ドラフト9位以下で1億円突破は後藤光尊(オリックス)に次いで2人目。セ・リーグ初の快挙となった。(金額は推定)

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若き日の佐野はベテランに夢を語っていた。2018年(平30)に大和が、阪神からDeNAにFAで移籍してきた。推定年俸は1億円。一方、2年目の佐野は代打専門で、年俸はまだ700万円だった。「当時は必死だった。『僕も1億円プレーヤーに早くなりたいんですよ』という話をよくしていました」。

プロ13年目で1億円に到達した大和は優しかった。そして慧眼(けいがん)だった。「『2、3年後にはなれるよ』と言ってくれていた」と佐野。実際に3年後、見事に予言は当たった。

偶然にもこの日、佐野は大和とトレーニング時間が重なり、顔を合わせた。「『大和さん、本当に1億円にいきました』と話したら、喜んでくれて。あのころ言っていたことが、本当に2、3年後に1億円に到達するとは。自分でも思ってなかったので、ものすごくうれしい」と顔をほころばせた。

下位指名から、はい上がってきた男は、今やキャプテンを務める。「試合に出られなくて悔しい思いが最初の2、3年はあった。そういう思いは今も忘れていない。1億円に乗ったということはあるかもしれないが、初心を忘れずに謙虚でいたい」。明大4年でのドラフト時は、柳裕也投手の中日1位指名、星知弥投手のヤクルト2位指名を見ながら、ずっと名前を呼ばれることを待ちわびていた。プロでは代打からのスタートだった。大台突破にも、あらためて、原点を胸に刻んでいた。【斎藤直樹】

◆ドラフト9位以下で指名された選手の年俸1億円以上 後藤光尊(オリックス→楽天)に次いで2人目になる。後藤は01年10巡目でオリックスに入団し、12~15年が1億5000万円だった。また育成ドラフト出身選手では、今年のソフトバンク千賀の4億円、甲斐の1億6500万円などがある。