球界随一の“聖域”に挑む。巨人中山礼都内野手(19)が27日、川崎市のジャイアンツ寮で契約更改に臨んだ。

10万円アップの年俸610万円でサイン。2年目の来季へ、球団からは遊撃手のレギュラー奪取を期待された。若武者“ライト”が、憧れの坂本が君臨する“ショート”のポジションと後継者争いに、名乗りを上げた。

    ◇    ◇    ◇

憧れの坂本が担う「巨人のショート」を、真正面から狙う。中山は決意を込めて言い切った。「小さい頃からショートをやってきた。レギュラーを取りたいというのはずっと思っている。(ショートを)任せられるように、1日でも早く追いつけるように」とギラギラした思いがにじみ出た。

実家は坂本グッズであふれる19歳。ショートを始めたのも坂本の存在からだった。憧れ続けた背番号「6」の背中。少しだけ近づいた1年目だった。春季キャンプやジャイアンツ球場で直接指導してもらう機会もあった。送球への「リリースを少し高くした分、生きたボールが投げられる」というアドバイスは今に生きる。「打撃、守備、走塁どれをとっても超一流。ショートとして全ての技術を持ってらっしゃる方」と尊敬のまなざしは変わらない。

今季イースタン・リーグでは、規定打席未達ながら打率3割9厘をマークした。それでも目標の1軍出場はかなわず「悔しい1年になりました。フィジカル面もスピードも、全てにおいてまだまだ力不足」と痛感した。遊撃手として歴代最多1875試合に出場している最強ショートへの挑戦は、生半可な気持ちではできない。

今オフは、志願して吉川、岡本和とともに自主トレを行う。「オフは休みなしで、しっかりキャンプでアピールできるようにやっていきたい」。覚悟のオフを過ごし、憧れ続けた背番号「6」の背中をつかみに行く。【小早川宗一郎】

◆巨人の遊撃手 坂本が高卒2年目の08年からレギュラーとして君臨している。今季は遊撃手として116試合に出場したが、5月に右手親指を骨折して離脱。若林(12試合)、広岡(10試合)、吉川(5試合)が代役を務めた。他にも守備と走塁を武器にする増田大、湯浅らが虎視眈々(たんたん)とポジションをうかがっている。