ロッテ高部瑛斗外野手(24)は足が速い。50メートル走は最速5秒8。昨季盗塁王の和田康士朗外野手(23)と互角だ。一塁駆け抜けタイムは何秒だろう。

「測ったことないです、それは」

ならば測ってみる。ちょうどこの日の第3打席、たたきつけての遊撃内野安打を、確認用としてスマホ動画に収めていた。

映像をもとに、手押しのストップウオッチで5度測る。3秒72から始まり、3秒70、3秒73、3秒75と続き、最後は3秒75。だいたいこのあたりに固まる。左打席からしっかり振り切ってのタイムで、相当速い。

この打席は4球ファウルで粘って、最後の変化球も引っかけず、遊撃へたたきつけた。1日で4安打。2回の第2打席は4球連続でセーフティーバントのそぶりで揺さぶり、有利なカウントからの甘めの直球をしっかり中前にはじき返した。内容が濃い。

本人に4安打のうちのベストを尋ねると「レフト前ですね」と迷わず答えた。「何て言うんですかね、ちゃんと状況を見れてたというか」。

7回1死一塁。引っ張って進塁打にしたい場面で、相手も変化球で引っかけさせにくる。「外にスライダーが来て、ちゃんとレフトに打てました。あれを引っ張り込んでたら、内野のぼてぼてのゴロだったり、アウトになってた可能性もあるので」。2軍では無双でも、1軍では結果が出ずに苦しんだプロ2年間。「そのまま素直に打てたのは、今までの練習が生きてるんじゃないかなと思います」と充実の表情だ。

守備走塁も含め、積極性と裏腹の失敗もある。「怖がらずにスタートを切ることがちゃんとできているので」。もちろん反省して練習するが、引きずりはしない。去年までとは違うシーズンになりそうだ。【金子真仁】