お化けカーブ!? 阪神新守護神候補のカイル・ケラー投手(28=パイレーツ)が、堂々の日本デビューを飾った。6回から2番手で登板。1死から中村晃に中前打を許したものの後続を断ち、1回1安打、1奪三振無失点で仕事を果たした。「本当に楽しみだった。ファンの皆さんの前で投げるのがすごい楽しみで、やっとできたのでよかったですし、投げた感じは悪くなかった」。ランナーを出しクイックに切り替わっても、コントロールが乱れることはなかった。

【ニッカン式スコア】ソフトバンクー阪神 詳細速報

落差1メートルある? と思わせるほど、縦に大きく割れるカーブがさえ渡った。14球のうち4球を投じ、1球も前に飛ばさせなかった。見せ場は2死一塁。上林に対し、カウント2-2から真ん中付近に121キロの宝刀を投げ込んだ。スイングしたバットはボールの上を大きく通過。「KK」の愛称通り空振り三振で福岡のファンを沸かせた。「今日はカーブが特によかった」と自信を深め、「今後はスライダーも投げてはいきます」とさらなる引き出しの解禁を予告した。

一方で、10球投げた直球の最速は148キロ。平均球速も146キロにとどまった。「球速、コントロール、球の質、いろんな意味でまだまだ改善の余地があるのは間違いないので、今後上がっていくと思いますし、上げていかないとな、と思ってます」。最速157キロを誇るだけに満足しなかった。

矢野監督は「空振りも取れていたしカウントも取れていた」とカーブを評価。一方、岩崎とのクローザー争いについては明言せず、「もうちょっとスピードが上がってもらえたらなっていうのはあるけど、これから上がってくると思います」と注文もつけた。次回は18日からのオリックス3連戦(京セラドーム)に登板予定で、最終仕上げにかかる。【中野椋】

◆カイル・ケラー 1993年4月28日生まれ、米ルイジアナ州出身。サウスイースタンルイジアナ大から15年ドラフト18巡目でマーリンズと契約。19年にメジャー昇格。メジャー通算44試合にすべて救援で登板し、1勝1敗、防御率5・83。193センチ、92キロ。右投げ右打ち

<阪神主な守護神の決め球>

◆殺人スライダー 03年Vの使者、左腕のジェフ・ウィリアムスが繰り出したスライダーは、打者が「止まって消える」ように見えたという。空振りした右打者の腹部に当たることもある切れ味だった。

◆火の玉ストレート 藤川球児の直球は、胸元に伸び上がってくるような球筋で強打者たちを圧倒。「真っすぐと分かっていても打てない」と称された。球団最多の243セーブで日本を代表するクローザーに。

◆石直球 呉昇桓の150キロ台中盤の速球は、その重い球質から「石のようだ」と評された。カットボールやチェンジアップの変化球も織り交ぜ威力は倍増。14、15年の2シーズンだけで80セーブを荒稼ぎした。

◆ジョンソンのパワーカーブ マテオの代役で19年に阪神入りしたピアース・ジョンソン(愛称PJ)は主に8回を任された。150キロ台後半の速球に加え、130キロ台で鋭く曲がるパワーカーブを武器に相手打者を手玉に。タイミングを狂わせるだけでなく、空振りも取れるウイニングショットだった。登板58試合で2勝3敗0セーブ、防御率1・38の好成績。チーム最多の40ホールドも稼いだがメジャー復帰への思いが強く、オフにパドレス入りした。

 

<阪神今季のリリーフ陣>

左投手

○岩崎

△渡辺(育成)

右投手

○ケラー

○石井

○小野

○湯浅

△浜地

△斎藤

△小林

★小川

〇=当確、△=候補、★先発、中継ぎ両にらみ