広島が破竹の快進撃だ。6回に2戦連続で4番に座った新外国人ライアン・マクブルーム内野手(29=ロイヤルズ)が決勝の適時二塁打を放ち、阪神に逆転勝ち。93年に並ぶ球団記録の開幕6連勝を飾った。主砲鈴木誠也がメジャーに移籍し、前評判は低かったが、好調な打線に新助っ人も実力を発揮。勢いは止まりそうにない。

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高々と舞い上がった飛球は強風に揺れながら、左翼フェンスに直撃した。2戦連続4番出場のマクブルームが放った長打に、二塁走者菊池涼はゆっくりと勝ち越しのホームを踏んだ。逆風で来日初弾を逃したが「しっかりウエート(トレーニング)をやりたい」と値千金の決勝打に笑顔を見せた。

「いい状態に上がってきている。自分は同じ球でやられることをしないというのが信条。試合の中でしっかりと調整していくのが課題。今日の結果はいい結果なので正しい方向に進んでいっていると思います」

広島打線は、阪神秋山に20年以降16試合で3勝9敗、防御率1・77に抑えられていた。ただ、新助っ人に苦手意識などない。初対戦の1打席目は1球も振らずに三振。球筋を頭に入れて臨んだ2打席目にアジャストした。チーム初安打となる二塁打で4回まで無安打だった右腕のリズムを崩し、6回にKOした。

得点を呼ぶ助っ人だ。初出場の29日は9回の来日初安打がサヨナラ勝利の呼び水となった。30日も6回に左前打で逆転劇をお膳立てし、続く7回は来日初打点となる中前適時打で中押し点を奪った。全5安打すべて得点に絡んでいる。

首脳陣は「真面目すぎるくらい真面目」とその姿勢に感心する。試合前ミーティングではコーチからの指示をしっかりノートにメモ。一塁で先発出場した30日の試合前練習では自ら左翼で打球を追うなど、日本になじもうとする姿勢が感じられる。

来日が遅れたものの、ウエスタン・リーグの実戦3試合を経て1軍合流となった。コンディションが整ったことに加え、「つなぎの広島」に合うタイプだったことも早期合流を可能にした。新天地で早くもチーム方針のつなぎの野球を実践。すでに好調だった打線の勢いをバットで加速させた。

助っ人野手の打棒に引っ張られるように、4戦連続逆転勝利で93年の球団記録に並ぶ開幕6連勝となった。佐々岡監督は「大量点から、最少得点差でも投手陣を中心とした守り勝つ野球もできているので、大きかったと思います」とうなずく。助っ人の存在がチームの可能性を広げている。【前原淳】

◆ライアン・マクブルーム 1992年4月9日生まれ、米バージニア州出身。14年にドラフト15巡目でブルージェイズと契約。19年にロイヤルズでメジャー初出場し、21年までプレー。メジャー通算66試合、44安打、6本塁打、16打点、打率2割6分8厘。昨季は同球団3Aで32本塁打。190センチ、99キロ。左投げ右打ち。なお名字のMcBroomの「Broom」の意味は「ほうき」。