国学院大は、学生コーチも兼任する苦労人・山村航大捕手(4年=市立太田)の一打で勝利をものにした。

1点ビハインドで迎えた7回、代打、山村は直球を捉え振り抜くと、打球はレフトスタンドへ吸い込まれた。今季2打席目で初ヒットが初本塁打。チームのピンチを救う貴重な同点打になった。

1-1の同点で迎えた9回には、2死満塁から代打・冨田進悟内野手(2年=横浜)の打席で、日大・岸川海投手(4年=二松学舎大付)の暴投で勝ち越し。投げては7回から2番手で登板した瀬崎絢投手(3年=日大豊山)が1安打無失点の好救援で、守り切った。

鳥山泰孝監督(46)は「根気強く、負けない試合ができた。我慢比べだったと思います。その中で山村がよく一発で仕留めてくれた。まさに起死回生。一番の苦労人。神様がしっかりと見ててくれているな、という感じです」と山村の活躍を喜んだ。

昨秋、新チーム発足時、山村は自ら学生コーチ兼任選手を選んだ。「自分がチームを引っ張り、キャプテンをサポートしながら、チームを日本一に導くための原動力になりたい。僕自身、何ができるかを考えたら学生コーチでした」。普段の練習ではブルペンで投手の調整に、野手の練習メニューの管理も担当。「自分の練習が足りなければ、終わってからやればいい。負担だと思ったことはないです」。フル回転の日々にも充実感をのぞかせた。

試合後、山村の活躍を喜ぶ鳥山監督の隣で「(神様が見ててくれている)本当にその通りだと思います。今までやってきたことは間違いじゃなかった。これを自信にしてこれからも頑張っていきたいです」。選手を陰で支えながら、初めて浴びるスポットライトに、照れくさそうに笑った。【保坂淑子】

▽日大・片岡昭吾監督(暴投で決勝点を奪われ、1勝5敗に) 勝ちきれないということは、力がないということでしょう。でもまだ勝ち点を落としたわけじゃない。打者が打ちに行くのはいいが、ボール球も振っている。