広島の新外国人ドリュー・アンダーソン投手(28)が巨人戦(マツダスタジアム)に先発し、来日初登板初勝利を挙げた。5回まで1人の走者も出さない完全投球。6回に初安打から2死三塁のピンチを招くも、無失点で切り抜けた。7回を投げきり、わずか1安打7奪三振無失点の快投。リリーフ陣も無安打で抑える完封リレーで、首位巨人に快勝した。

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新外国人アンダーソンが来日初のマウンドに上がった。初回。右腕の17球に本拠地が沸いた。先頭香月を見逃し三振。続く広岡、ポランコを空振り三振。3者連続三振で来日初イニングを好発進した。その後も変化球は低めに制球。最速152キロの直球は高低左右に投げ分けた。首位の巨人打線に的を絞らせない。5回まで完全投球。6回にはこの試合初安打となる中前打から2死三塁のピンチを背負ったが、後続を断ち無失点。7回1安打7奪三振でマウンドを降りた。360度を囲う赤いスタンドから「歓迎」の拍手がこだました。

思えば長い冬だった。新型コロナウイルスの影響で渡航の見通しが立たなかった。年が明け、キャンプが始まった。キャンプ地・宮崎にアンダーソンの姿はない。オープン戦も始まったが、右腕はまだ米国にいた。もちろんただ渡航できるのを待っていたわけではない。「米国のチームでプレーしている選手がキャンプに行く前は何度か(打席に)立ってもらっていた。スプリングトレーニングに行ったあとは、高校生相手に投げた」。難しい状況でも工夫し、試行錯誤した。長い道のりの末、たどり着いた1勝。「長いオフになった。ようやくシーズンが始まった」。

初勝利で文句なしのお立ち台。「こどもの日」に詰めかけた大勢のファン。ぶかぶかの応援ユニホームをまとった小さな鯉党の姿も多い中、マイクを右手に広島弁で言った。「カープのファンが一番じゃけえ」。ファンもチームも思っている。アンダーソンの投球が一番だった。【前山慎治】

▽広島佐々岡監督(アンダーソンについて)「緊張したと思うが、素晴らしい投球をしてくれた。(ローテーションに)大きな1枚が加わった。本当に良かった」

◆ドリュー・アンダーソン 1994年3月22日生まれ。米国ネバダ州出身。17年にメジャーデビュー。メジャー通算は先発2試合含む19試合で1勝3敗、防御率6・50。持ち球はスライダー、カーブ、チェンジアップ。最速155キロ。右投げ右打ち。背番号42。趣味はゴルフでベストスコア77。190センチ、93キロ。推定年俸7700万円。

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