ああ~絶好機で…。阪神が「日本生命・セパ交流戦」でロッテに競り負けた。初回無死満塁で4番の佐藤輝明内野手(23)が空振り三振。後続も倒れ無得点に終わった。主砲は8回に意地の12号2ラン。1点差に詰め寄ったが、低反発打線では3点差を逆転できなかった。矢野燿大監督(53)は「初回がすべて」と悔やんだ。

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強烈な破壊音とともに、ライナーでZOZOマリンの右中間スタンド中段へぶち込んだ。0-3の8回1死二塁、佐藤輝は右腕ゲレーロの内角高め156キロを完璧に捉えた。「すごくいい感触でした。でも前の打席まで悔しい思いをしたので」。1点差に迫る1発の手応え、第1打席で残した後悔がコメントに詰まった。

初回は無死満塁で打席に。ロッテ内野陣はやや深めに守り、1点よりも併殺を狙うシフトを敷いた。ゴロでも犠飛でも先制点が奪える場面で、フルカウントから先発左腕ロメロの151キロ内角高めで空振り三振。「何とかかえそうと思っていた。球種は少ないので。タイミングとか、いろいろ意識していったが、今日はダメでした」。ロメロには3打数無安打、2三振に抑え込まれた。

矢野監督も「初回がゼロでいってしまったのがすべて。一気に崩せるかもしれない状況だったので、悔しい。輝が最後本塁打を打ったけど、やっぱりあそこ(初回)で打たないと」と厳しかった。その初回の絶好機。佐藤輝が倒れた後、2年ぶりスタメンの原口が捕邪飛、糸原も中飛で無得点に終わった。前日28日の初回に3点を奪って流れをつかんだようにはいかなかった。

53試合を消化し、3点差以上をはね返して勝った試合はない。低調な打線を表すデータだが、この日は1番近本が2安打、2番中野が3安打2盗塁。6番糸原も2安打。矢野監督は「1、2番が出てというところと、糸原が行けば大量得点となってくる」と語り、中軸の前後の状態が上がってきたと実感している。

ここまで佐藤輝は打率2割7分5厘、12本塁打、29打点といずれもチームトップの成績。ただ虎の4番として勝利を決める一打を求められ、「反省点として、次につなげたい」と初回の三振を心に刻んだ。連勝は2でストップ。日曜日の5連勝、デーゲームも6連勝で神話は崩れた。31日からの甲子園6連戦で、悔しさをバットにぶつける。【石橋隆雄】

▼阪神は今季3点差以上の逆転勝ちが1度もない。これはセ・リーグではほかに広島だけだ。逆転勝利の内訳は2点差4度、1点差3度。ビハインドからの反発力に欠けている。逆転勝ち7度はDeNAの6度に次ぎ、中日と並んでリーグで2番目に少ない。一方の逆転負けとなると、開幕戦の3月25日ヤクルト戦の7点差をはじめリーグ最多の13度を数えている。

▼阪神は今季無死満塁が5度あり、安打がない。得点は3月29日広島戦の6回に糸井の二ゴロと、5月15日DeNA戦の5回に梅野の右犠飛の2度のみ。満塁でチームは35打数11安打で打率3割1分4厘。1死では4割(15打数6安打)2死では3割1分3厘(16打数5安打)で、絶好機である無死満塁での不振は際立っている。

▼阪神は5月8日から続けていたデーゲームの連勝が6で止まった。日曜日も4月24日ヤクルト戦からの連勝が5で終わった。

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