日本ハムは今季初となる先発全員の14安打で快勝。「日本生命セ・パ交流戦」で初のカード勝ち越しを決めた。試合前に新庄剛志監督(50)がインスタライブを実施し、スタメン9人を決定。ベンチスタート予定が一転、視聴者の推薦で二塁起用が決まった杉谷拳士内野手(31)が、同点の2回に遊ゴロで勝利打点、4回にも追加点の右前適時打と“大当たり”で期待に応えた。

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球界の人気者は、決してファンの期待を裏切らない。ちょうど2週間前、無安打ながら札幌ドームのお立ち台を“前借り”してマイクを握った杉谷が、1安打2打点で正真正銘のヒーローになり「今回は死に物狂いでお立ち台へ来ました」と、鼻息荒く胸を張った。頭の上には、とぼけた顔の新グッズ「しゃけまる帽子」が乗っていた。

同点の2回1死二、三塁で遊ゴロの間に打点を挙げ勝ち越し点を奪うと、1点リードの4回無死満塁では右前適時打。この回、3連続適時打を含む6安打4得点の口火を切った。元気印の活躍に乗せられて、若い打線は大爆発。6回までに13安打と打ちまくり、今季初の先発全員安打で交流戦初のカード勝ち越しを決めた。

活躍したい理由があった。試合前、新庄監督がインスタライブをしながらスタメンを決定。二塁手を決める際、BIGBOSSが「みなさんの意見は?」と視聴者に問いかけたところ、杉谷を推す声が殺到。「今日は(試合中継が)全国放送だから」という林ヘッドコーチの助言もあり、ベンチスタート予定から一転、スタメン出場が決まった。指揮官から「今日スタメン。10番」とイジられ「10番って(打順が)回ってこないんじゃ…」とボケながらも「明るく野球をやって、チームに勢いをもたらすことが(自分の)役割」と、今季3度目の先発出場に笑顔だった。

巨人の一塁には、昨季まで同僚の中田がいた。前日28日、代打で出場した際、感謝の気持ちから、中田が使っているビーグルクルーの「My HERO」を登場曲に使用。結果は中飛で「ヒットが打てなかったので、2度と使いません」と言いながらも「ずっと見てきた背中。今は違うチームだけど、1年でも長くグラウンドで、元気な姿をお互い見せられたら」。「大将」と慕った先輩と、今後も切磋琢磨(せっさたくま)していく。

杉谷の出場試合は7勝1敗と、実は高い勝率を誇る。「ファイターズはこれから強くなっていくチーム。どんどん成長していく姿を、見守ってもらえれば」。最下位脱出へ奮闘するチームを、“勝利の使者”が明るく照らす。【中島宙恵】

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