阪神藤浪晋太郎投手(28)には、1学年下の元女房役との対決を楽しむ余裕があった。4点リードの8回2死無走者。5番森に初球の内寄り低め159キロ直球を痛打されると、マウンド上で笑みがこぼれた。「森の方が上だった。さすがだな、と。超一流の打者だとあらためて思いました」。試合後のコメントからは、すがすがしさすら漂った。

2人は大阪桐蔭で甲子園春夏連覇を達成したバッテリー。5番森がコールされると、3万2831人の観衆が沸きに沸いた。1軍公式戦では18年6月3日に四球を与えて以来、4年ぶり2度目の対決。「状況も状況でしたし、個人的に楽しみたい場面でもありました。多分、球場にいた全員がストレート勝負を期待していた。それをやってこそのプロ野球なので」。全身全霊を込めた1球だった。

直球待ちの打者に直球を選択。この日最速の159キロは物の見事にフルスイングされ、痛烈なライナーで右翼線に運ばれた。二塁打。それでも先輩はどこか満足げだ。「打たれる、打たれないではないかなと。真っすぐを張っているのは分かっていました。その上でお客さんがみたいモノを見せてこそのプロ野球。楽しんでくださった方がたくさんいたなら、それで良かったなと思います」。

1軍復帰後2戦目は1イニングを1安打無失点でバトンをつないだ。3番愛斗は149キロフォークでバットを折り遊ゴロ。4番山川は147キロフォークで三ゴロ。最後は2死二塁で、こちらは高校の11学年先輩にあたる5番中村を内角158キロで右飛に仕留めた。大阪桐蔭対決を1勝1敗で終え、2戦連続無失点。「前回より良かったと思います」。藤浪が心身ともに勢いづいてきた。【佐井陽介】

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