試合後の会見、楽天田中将大投手(33)の方から質問が飛びだした。

「いい当たり、ありました? 先頭の坂倉選手は良かったけど、それ以外は、いい当たり、ありましたか?」

外野の前にポトリと落ちる当たりや、しぶとく内野の間を抜かれる当たりが続き、この回4安打で2点を失った。援護が1点しかない中、8回には味方の失策で3失点目。8回を91球、7安打3失点(自責2)、7奪三振。勝ち投手にしていい、十分な内容だった。

立ち上がりから抜群だった。直球も変化球も狙ったところに制御した。2球で追い込んでから、3球勝負であっさり三振を奪う。同時に「全部が勝負球」と話したように、初球からも甘いボールはほとんどなかった。2回から4回まで3者凡退を続け、納得の表情でうなずきながらベンチに下がる。「どの球種もある程度、投げられてましたし、自分の感覚でも両サイド、いろんな球種で投げられたのは大きかった」と手応えがあった。

それだけに、5回のアンラッキーが口惜しい。何より、打線の援護があれば。ただ、田中将はこう続けた。

「自分としては、いいところに投げきれるか。それは、自分の技量。ただ、いいコースに投げようが、甘くなろうが、バットに当たった後は分からない。しょうがないです」

野球の難しさを説くように、一気に心の中を吐露した。

自身4連敗を喫し、チームは8カード連続で初戦を落とした。嫌な数字が並ぶが、こうも言った。

「勝とうが、負けようが、調整していく方向は変わらない。そこは、ぶれずにやっていきます」

石井GM兼監督は「彼は常に勝つチャンスをくれるので、彼を勝たせてあげることができなかった。また次、彼の登板の時はしっかり得点を取れるように、チームとしてやっていければいい」。次こそは。【古川真弥】

 

▽楽天炭谷(田中将に)「コントロールも良く、球の強さもありましたし、今シーズンの中でも調子自体はいい方だったと思います」