618日ぶり白星-。広島野村祐輔投手(32)が「日本生命セ・パ交流戦」西武戦(ベルーナドーム)で今季初先発。6回途中を3失点(自責2)で20年9月30日巨人戦以来の勝ち投手となった。21年は8試合に先発も0勝4敗と、プロ10年目で初めてシーズン未勝利に終わったが、復活を期して臨んだ今季、2年ぶりの白星をつかんだ。打線もチーム16戦ぶり本塁打など、2本塁打で6得点。右腕の久々勝利をアシストし、勝率5割に復帰した。

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27個目のアウトを守護神が奪うと、野村が小走りでナインを迎える列に加わった。栗林がウイニングボールを突き出す。久々の勝利球。両手で受け取り、左のポケットにしまった。学生時代から握っている70ミリ超の硬式球。何も変わらない白球だが、右腕にとっては大きな1球となった。

ここまで金曜日の登板を重ねていた大瀬良が、コンディション不良で出場選手登録を抹消された。代役として、16年最多勝右腕がこの日のマウンドを任された。今季初めての先発。「久々のマウンド。今までやってきたことをすべて出せるように、という思いで投げた」。2ランで先行を許したが、野手が3イニングで3点取り、逆転。一時は味方ミスで追いつかれたが、2本塁打などで再び突き放した。5回2/3を3失点(自責2)。受けた援護は5点。前カードでは3戦で4点しか取れなかった打線も右腕の今季初勝利へ、強力にサポートした。「たくさん点を取ってくれた。勇気を持って投げられた」と感謝を示す。

21年は不本意なシーズンとなった。20年10月に受けた「右鎖骨下静脈血栓症除去術」から復帰したが、8試合に先発で0勝4敗。プロ10年目で初めて勝ち星なしでシーズンを終えた。同年オフには減額制限いっぱいの4800万円減となる7200万円(推定)で契約を更改。「思うようにはいかなかった。はい上がっていきたい」と誓い、球団現役最多77勝の実績も置き去って、11年目に入った。

16年には16勝を挙げ、最多勝にも輝いた右腕。エース大瀬良を欠き、窮地に立たされたかと思われたチームだったが、野村が救った。「(21年0勝の)悔しさを常に持ってやってきた。まだまだ忘れずにやっていきたい」。雪辱はまだまだ道半ばだ。【前山慎治】

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