オリックス紅林弘太郎内野手(20)が、ドラフト同期・宮城大弥投手への援護弾を放った。

1-1の7回、先頭でソフトバンク石川柊太投手の2球目カットボールを捉えて決勝の2号ソロ。チームが17年4月15日の白星を最後に9連敗を喫していた天敵をついに沈め、宮城の今季6勝目をアシストした。

なんだかんだ言っても、深くて強いのが19年ドラフト1、2位コンビの絆だ。決勝弾を打ち終えてベンチに帰ってみれば、出迎えの最後尾に宮城の姿。笑顔いっぱいでハイタッチしようと右手を出したら、寸前でくるりと背中を向けられ、タッチを“拒否”された。「ふざけてんな、と思いましたけど」と言っても、紅林には感謝のツンデレだとわかっていた。

「宮城が投げているときにぼくは打ててなくて、援護できてなかったので、今日はなんとか。1点しか取れてなくて苦しいピッチングさせていたので、なんとか楽にさせてやりたいなと思って打席に立っていました」と、石川からの初アーチを振り返った。

セ・パ交流戦開幕直前に不振で2軍落ち。自身を見つめ直す期間を与えられ、持ち前の積極性を取り戻した。19年秋、プロ入りが決まったとき「見ている人を感動させるプレーをするのがプロだと思う」と、紅林は自身のプロ観を明かした。攻守の積極性こそ、ファンを引きつける紅林の魅力。その力を取り戻し、この日は宮城を救った。

2人ならではの、ほほ笑ましい工夫も試みていた。「今まで宮城が投げる日は、あんまり宮城に負担かけたくないからぼくの車に乗ってたんですけど、全然勝ててなくて。ちょっと流れ変えていこうって、今日は宮城の車で来たら(結果が)よかったんで。これからも投げる日は宮城の車で来たいと思います」。初心者マークつきの宮城の愛車が、2人のラッキーカーになった。【堀まどか】

〇…宮城が8回途中まで2失点と好投し、6勝目を挙げた。今季初の週頭の先発。登板前には先輩の山本が達成したばかりの無安打無得点試合へのあこがれも語っていたが、2回でノーノーは消え、3回にソフトバンクに先制を許した。だが中盤は連打を許さず。試合後は決勝弾の紅林とお立ち台へ。「ぼくのときは結構、ダブルプレーとか多くて。でも自分に勝ちをつけてくれて、ありがたいです」と打のヒーローに感謝した。

〇…中川圭がソフトバンク石川からは初となる適時打を放った。1点を追った4回1死二塁で石川のストレートを捉え、中堅フェンス直撃の同点二塁打。「いい感触で打つことができましたし、同点のタイムリーになってくれてよかったです」と喜んだ。チームが前回対戦まで9連敗を喫していた右腕から自身初打点を挙げ、逆転勝ちに貢献した。

▽オリックス中嶋監督(紅林の復調に)「しっかり振っていく選手だったんですけどね。何を変えたか、自分で血迷ったか、訳分からんことになってたのでね。振らなくて当てにいくという、最低のバッティングでしたけどね。やっと、思い切って振れるようになってきたのかなと思いますけどね」