令和の“燃える男”が巨人に勢いを呼び戻した。4年目の増田陸内野手(22)が、3号ソロを含む初の3安打猛打賞をマークした。元気はつらつとした思い切りのいいプレーで、初の1番起用に満点回答。チームも前夜に食らった5発16失点を上回る6発19得点でお返し、10ゲーム差に戻した。26日の3戦目でも負ければ自力優勝の可能性が消滅するが、増田陸がつくった上昇気流に乗って、首位ヤクルトから連勝を狙う。

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「絶対に、いったろ」

大敗を喫した前夜、増田陸の闘志は既に燃えさかっていた。コーチから命じられたプロ初のリードオフマン。11ゲーム差からの逆転ドラマへ。チームとしても何かを変えたい一戦で、プロ4年目が責任あるトップバッターを任された。

「チームに勢いを持って来るための起用だ」。自覚と覚悟を持って第1打席に懸けた。1ストライクからの2球目。ヤクルト先発サイスニードの123キロナックルカーブを中前に運んだ。前夜から神宮に漂う重たい空気を、鮮やかに切り裂く一打。初回の4得点につなげ、試合の方向性を決定づけた。

育成契約に降格した昨年12月と180度違う光景が目の前にある。「今年ダメだったら僕の野球人生は終わる。それぐらいの気持ちで、もがいてます」。

17試合連続でスタメン出場を続けていた今月22日のDeNA戦。8回の打席で左膝に自打球を当て、9回の守備で中田と交代した。悔しさから自軍ベンチで帽子を目深にかぶり、頭を抱えた。

悔し涙に見えたと問われ「泣いてない。泣いてないですけどね」と強調。「あと1イニング守れなかった。その悔しさは絶対に忘れてはいけない」とその試合以来のスタメンで、初猛打賞と結果につなげた。

1番起用の意図は特に聞いていないが「若いし、ガツガツいくタイプ。そういう面での起用だと、自分は考えている」。血気盛んな目が、さらにギラついた。【三須一紀】

<増田陸(ますだ・りく)>

◆プロフィル 2000年(平12)6月17日、大阪市出身。178センチ、85キロ。右投げ右打ち。

◆球歴 小1から此花トライアルで軟式野球を始め、春日出中では大阪福島シニア。茨城・明秀学園日立では3年春の甲子園出場。高校通算23本塁打。

◆目標は坂本 母校の金沢成奉監督が光星学院(現八戸学院光星)で坂本を指導した縁もあり、背番号は坂本の入団時と同じ「61」。今では自主トレもともに行い、アドバイスももらうなどの“師弟”関係。

◆育成契約 18年ドラフト2位で入団も1軍経験がないまま21年12月に育成契約。背番号は「061」に。春季キャンプでアピールし、3月に支配下に再登録された。

◆決意の髪形 育成で再契約して迎えたオフ、高校時代以来の五厘刈り。「実力がないから育成になったということ。逆襲の気持ちで今年を迎えています。似合ってるっす。髪の毛いじくってる場合じゃないと思う。邪念は消し去って」。

○…ポランコが来日初の1試合2アーチで2ケタ本塁打に到達した。3回に99打席ぶりの1発を放ち、6回には右翼席へダメ押し3ラン。16号を放ったウォーカーとともに、94年のコトーとグラッデン以来、球団2度目の来日1年目の助っ人2人の2ケタ本塁打を決めた。「8号から時間がかかったけど素直にうれしいよ。阿部コーチに気の持ち方で助言をもらい、余裕を持って試合に臨めたのも良かった」と喜んだ。

▽巨人原監督(増田陸について)「元気のいい陸を1番に置いたということ。最初のヒットもホームランももちろんですけど、元気のある姿というのは非常にいいと思います。良さが出たと思います。攻撃的ないいところが出たと思いますね」

▽巨人シューメーカー(家族が観戦する中、5回1/3を7安打4失点で4勝目)「四球がなかったのは間違いなく良かった。流れを変えるような試合になってくれればいいと思うし、向こう(ヤクルト)の流れをちょっと悪い方向に変えるようなきっかけになればいい」

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