広島に新加入した秋山翔吾外野手(34)が、ウエスタン・リーグ中日戦(由宇)に出場し、日本球界に“復帰”した。

日本でプレーするのは19年10月13日以来実に993日ぶり。1回1死一塁ではファーストスイングでいきなり左中間へ先制適時打。3回1死一塁では四球を選んだ。5回の守備から交代。これ以上ない広島デビュー戦で1日を終えた。3日同戦にも出場する見込みだ。

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拍手で送られ、秋山が第1打席に立った。1160人のファンが視線を送る。太鼓も手拍子もない2軍戦は静寂につつまれた。注目からくる沈黙。その静けさを破ったのは、自身のバットだった。1回1死一塁。カウント1ボールから中日の左腕橋本が真ん中やや外寄りに141キロを投じた。シャープに振り抜かれたバットが芯でとらえる。沸く歓声。白球は左中間フェンスに1バウンドで当たった。先制の適時二塁打。第1スイングでいきなり結果を出した。「ファーストスイングであの打球、しっかりとつかまえられた。(橋本は)球の強い投手と聞いていた。しっかり気構えを持って、打席に入れた」。

2打席目は3回1死一塁で迎えた。フルカウントから外角低めから外に逃げる変化球。バットが出かけたが、こらえて見極めた。「内容があったかは分からないが、結果としては良かった。欲を言えば、2ボールからのファウルはつかまえたかった」。長打も打てる。四球も選べる。「秋山らしさ」は、6月3日以来の実戦となってもなんら衰えていなかった。「結果が出て良かったというのは1軍の話。今はこういう調整をさせてもらっている」。今後は結果と並行して内容もつきつめていく。

この日は5回の守備から交代。守備機会は1回2死で平田の左前打を処理しただけだった。「3打席、4打席立って、9イニング出たときに次の日の体調や疲れも出てくる。イニングを伸ばして、調整していきたい。ケガなく終わったのでまずは第1段階としては良かった」。実戦復帰としては一定の手応えを感じた。佐々岡監督も「さすがの打撃」と安打を評価した上で「走攻守そろった選手。1カ月近く(試合を)できていないので、走攻守ができた中でGOサインが出るんじゃないか」と時間をかけて調整させる方針を示した。日米通算1476安打のヒットメーカーは着々と準備を整えていく。【前山慎治】

<広島秋山の動き(日付は日本時間)>

▽6月16日 パドレス傘下3Aエルパソを退団。

▽同19日 日本球界復帰を決断。

▽同20日 帰国。

▽同22日 西武と交渉。渡辺GMらが出席し「帰ってきて、もう1度ライオンズの選手として頑張ってもらいたい」と伝える。

▽同23日 ソフトバンクと交渉。ソフトバンク球団幹部は「思いは伝えた。めちゃくちゃ来てほしい」。

▽同24日 広島と交渉。広島鈴木球団本部長が「(広島で)2000安打を」と伝え、のちにこれが決め手の1つだったと明かす。

▽同26日 広島鈴木球団本部長に広島入団決断の報告。同本部長は「えっ。マジ!?」と驚く。

▽同27日 広島と契約。3年総額5億円(出来高込み、推定)。

▽同30日 広島入団会見。午後には1軍練習に参加。「アキと呼んでください」と広島ナインに自己紹介。

▽7月1日 1軍練習に参加。

▽同2日 ウエスタン・リーグ中日戦に「3番左翼」で出場。第1打席に先制適時二塁打など1打数1安打1打点1四球。

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