阪神青柳晃洋投手(28)が首位ヤクルトを今季2度目の完封で圧倒し、先発タイトル全部門のトップに立つ「4冠」に躍り出た。

ゴロキングのイメージが強いが、8奪三振で中日柳を抜く86Kで1位に浮上。勝利数(9)、防御率(1・36)、勝率(9割)の数字も上げて無双が止まらない。打線も前日連続試合安打が30で止まった近本光司外野手(27)が再進撃の1号2ランを放つなど8得点。どちらが首位か分からない会心の神宮ナイトになった。

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青柳の変幻投球に、首位を独走するヤクルト打線のバットが次々と空を切った。今季最多タイの8三振を奪う快投で2度目の完封。「ゴロキング」青柳が、中日柳を抜く86奪三振で「奪三振王」にも浮上した。勝利数、勝率、防御率もトップをキープし、球団史上初となる先発の全4タイトルを総ナメにする勢いだ。

「(三振を)取れればうれしいですけど、別に狙ってないんで、僕の場合は(笑い)。本当に配球の流れで三振が取れてるだけなので、キャッチャーのおかげだと思います」

最大のピンチを切り抜けた中盤以降、三振の山を築いた。1点リードの5回先頭村上に今季初ヒットを許し、2死三塁とされた。「(坂本)誠志郎を信じて投げるだけだった」。最後は中村を外角ボール球のカットボールで空振り三振。6回以降は140キロ台中盤の直球に、スライダー、カットボール、ツーシームなど多彩な変化球も駆使して的を絞らせず、7回の村上を含む6三振を積み上げた。

自らを「ゴロ投手」と自負する。球宴のファン投票で先発投手部門で1位で選出された際には「全部ゴロで」と9者連続ゴロアウトを「狙いたい」と宣言するほどだった。そんな「ゴロキング」に、今季は「奪三振」の要素が加わった。シーズン換算163個ペースで、昨季セ界トップの中日柳の168個に迫る勢いだ。

複数のパターンある“三振バッテリー”も三振増の要因の1つだ。「勝手な受け取り方ですけど」。そう前置きした上で「梅野さんは、僕の理想に近い全部内野ゴロを打たせるような配球にしますし、誠志郎だったら最初から三振を取る過程の配球になる」と特徴を分析。今キャンプから高低の使い分けに重点を置き、配球の妙に加えて増したキレ味も進化のポイントだ。

ゴロで取ったアウトは15個と持ち味も発揮。4月22日の同カード(神宮)以来、今季2度目の完封でハーラー単独トップの9勝目。神宮は20年から5連勝の好相性で、2年連続2桁勝利に王手をかけた。

「僕たちはまだ優勝を目指しているので。完封ができて本当によかった」

三振も武器にした青柳無双が、セ界を支配している。【古財稜明】

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