次なる目標は、「鉄人記録」だ。阪神近本光司外野手(27)が自身初のフルイニング出場に意欲を見せた。今季開幕から試合に出続けている選手は、12球団で近本ただ1人。「疲れている。みんな疲れていると思います」と苦笑しながらも、シーズン完走を頭に描いた。

「やらないと分からない世界もあると思う。しんどいといっても1回、2回を残して交代したところで、体力は変わらない。それやったら、その2イニングを頑張って、その先に見える世界のほうが楽しみだと思う」

球団タイの30試合連続安打を記録したが、残り60試合も休息不要のフル稼働で、新境地に立つ。井上ヘッドコーチも「途中でチカを変えるって選択は、これからもないでしょうね」とバックアップを宣言。フルイニング出場を達成すると、球団では15年の鳥谷敬氏以来、7年ぶり。生え抜きの外野手では球団初となり、鉄人の仲間入りを果たす。

この日もヤクルト戦は中止となり、神宮でフリー打撃などで汗を流した。連続試合安打が途切れた後も、集中を切らさずに8日の同戦で今季1号2ランを放った。「この2日間でどういう結果や反応が出るのかを見られないので、残念です」と言ったが、「やることは一緒だと思う」と3日間試合がない状況を冷静に受け止めた。チームは12日の巨人戦から9連戦を迎える。近本がグラウンドに立ち続け、勝利に貢献するヒットを量産する。【三宅ひとみ】

 

▼阪神で全イニング出場を果たしたのは、15年の鳥谷敬(遊撃手)が最後。外野手では、広島から移籍の金本知憲が03~09年に7年連続で記録。44年藤村富美男は本職の三塁をはじめ外野手での2試合も含め全イニング出場した例はあるが、阪神の生え抜き選手が外野手のみで全イニング出場すれば初となる。