勇敢に、冷静に、プロ初完封を決めた。巨人戸郷翔征投手(22)が、粘って最後までマウンドを守った。9回1死一、二塁のピンチも、三飛と一ゴロに仕留めて、思わず笑顔に。8安打完封勝利に「(9回は)苦しかったですけど、苦しさを乗り越えたので、その喜びがあるかなと思います」と納得の133球をかみしめた。

武器の直球で押す、若々しい姿を見せつけた。グラブには、聖心ウルスラ学園(宮崎)時代から“勇猛果敢”と刺しゅうを入れてきた。何事も恐れずに、勇ましく。「なぜか分からないんですけど、良い言葉だなと思って」。3回2死一、二塁には、阪神の4番佐藤輝に真っ向勝負。初球の内角148キロ直球で詰まらせて三飛に打ち取った。「(高校時代を)思い出します。毎回気持ちよく投げられている」という甲子園で輝いた。

ただ若々しい勢いだけではない。決め球のフォークが不調とみるや、カーブ主体に切り替えた。「(カーブが)良い感じにハマってくれた。フォークが悪くて、去年だったらそれで打たれていたところが、1つ球種が見つかった」と大人な投球を披露した。

阪神青柳に並ぶリーグトップタイの9勝目も、まだ通過点でしかない。2年連続9勝にとどまった戸郷に“10勝目”は大きな意味を持つ。それでも「1つ1ついければなと。チーム一丸となって、首位目指して頑張っていきたい」と意識しすぎずに、地に足をつける。次の照準は首位ヤクルト戦。若きエースが、過去の自分と首位の壁にも勇猛果敢に立ち向かう。【小早川宗一郎】

▽巨人原監督(今季自己最多タイの133球で初完封の戸郷に)とても球数が多い投手という部分でね。あの球数の中でしっかり完封できたのは非常に明るい材料。本当に途上ですから。これをいいステップ台にするというかね。そういう風に考えてもらいたいですね。

○…グレゴリー・ポランコ外野手が、試合前練習で阿部作戦兼ディフェンスチーフコーチから伝授された“かめはめ波打法”でアーチをかけた。1回2死一、二塁、カットボールを捉え、右翼ポール際へ2戦連発の先制13号3ラン。「タイミングとか自分の力、パワーのため方とかそういうのを教わりました。いいのをつかんだのは間違いない。集中して試合で出せるようにやっていきたい」と打席で生かしていく。

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