阪神北條史也内野手(27)が復活の今季1号2ランを放った。1点を追う2回1死二塁。「久しぶりのスタメン起用なので、試合前から絶対に爪痕を残してやろうと思っていました」。中日上田の内角高め直球に腕をたたんで振り抜いた。打球は左翼席へ届き、会心のガッツポーズ。16年9月22日の広島戦以来、2122日ぶりに決勝V弾を決めた。

今季2度目のお立ち台では北條節をさく裂させた。「打った自分が一番びっくりしているかなと思います。感触…。全然覚えていないです(笑い)」と会心の笑顔でファンの笑いを誘った。プロ10年目で一塁での先発出場は初。大山が、近親者の新型コロナウイルス陽性判定を受けて濃厚接触者となったため離脱。マルテも右足のコンディション不良が再発し、一塁手に離脱が相次いでいた。巡ってきた今季6度目のスタメン。同学年の近本から「チャンスやったら安打、2死走者なしなら、本塁打を狙って」と声をかけられたという。「チャンスで本塁打が一番最上級ですよね」と笑った。

覚悟を固めて迎えたシーズンだ。昨季は33試合の出場にとどまり、打率2割、1本塁打。前半戦は左足首を負傷し、後半戦は左肩負傷とけがに悩まされた。昨秋には左肩手術に踏み切り、春季キャンプでは2軍の高知・安芸キャンプでリハビリ組として地道な時間を過ごした。今季もムードメーカー役としてベンチを盛り上げているが、先発でも大仕事を果たした。「何かしらやってやろうという気持ちでした。確かに、去年打ってない」。甲子園で2年ぶりのアーチは復活の証しだ。

矢野監督は「もともと打撃もできる能力は持っている選手。盛り上げ役だけで終わるつもりはないと思うんで、存在感を出してくれたらなと」とさらなる活躍に期待を寄せた。大山不在の状況でも、勢いは止まらない。北條がチーム一丸を体現した。【三宅ひとみ】

○…近本が今季17個目の盗塁を決め、リーグ単独2位に浮上した。6回に死球で出塁し、その後二盗に成功。22盗塁のヤクルト塩見まで5差に接近した。初回には左前打を放ち、相手のミスの間に一気に三塁へ。5試合連続安打と隙のない走塁で存在感を示すと、同学年北條の逆転2ランにはベンチで人一倍大喜びした。

○…佐藤輝が2試合連続2三振に倒れた。初回2死三塁の好機で遊直。4回は空振り三振に倒れ、6回2死二塁の好機では再び空振り三振を喫した。大山、マルテが離脱している現状、長打力のある4番へのマークは厳しくなるばかり。甲子園では4月15日巨人戦でアーチを放ってから、33試合本塁打がなく、豪快アーチが待ち遠しい。

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