絶対に今季2勝目を-。ロッテ小島和哉投手(26)は敏感に察知した。1点リードの8回2死二塁、打者は西武の3番森。初球は変化球でストライクを取り、1度マウンドを外した。

「その前に(捕手の佐藤)都志也と話した時に、内角直球が勝負球になるからと。どこで使おうか探ろうと。1球目の後すぐにそのサインが出て」

浦和学院(埼玉)ではセンバツ優勝投手になるなど若くして経験は豊富。けん制球の動きでマウンドを降り、歩いて、上を向いて考える。10秒少々。

「もう1度考えて、いや、大丈夫だと。取り越し苦労じゃないかなって」

佐藤都を信じ、勝負球を投げ込む。「ちょっと甘かったですけど、気持ちで抑えられたと思います」。二ゴロに抑え、グラブをパーンとたたいた。

1勝7敗で後半戦を迎え、前回登板後には登録抹消された。「球以外なら、第三者的に見ておどおど投げてるなとか、攻めてないよなと思って。そこの切り替え1つだけだと思ったので」。コロナ禍での特例2022昇格で予期せぬ巡ってきた中6日。140キロ台終盤で攻めた初回から、8回最後の球まで、強気の芯を貫き通した。

帽子つば裏に「強気に攻めろ」と書いたのは昨年のこと。この夜、マウンドで何度か眺めたそこに文字はない。「自分に問いかけて。しっかり、大丈夫だぞと」。心でつかんだ今季2勝目が、正念場のチームを救った。【金子真仁】

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