真夏の猛チャージだ。巨人が広島に競り勝ち、Aクラス3位を死守した。2連勝で4月以来4カ月ぶりに3カード連続の勝ち越しを決めた。4回に新4番に座る中田翔内野手(33)が先制の15号2ランで先手をとった。7回に同点に追いつかれるも、8回に丸佳浩外野手(33)の決勝打で寄り切った。最大7あった借金を残り1とし、16日からは2位DeNA戦。5割復帰、その先へと進む。

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“新4番”の中田が言った。「仮の4番って言ったら申し訳ないですけど、誰がどう考えても、4番の席っていうのは(岡本)和真の席なので」。そして「自分自身、ジャイアンツの4番だとは思っていない」と重ねた。

0-0で迎えた4回無死一塁。広島大道の129キロスライダーを捉えた。打った瞬間、それと分かる15号2ランを左翼席中段に放り込んだ。2戦ぶりの1発は「手応えはすごく良かった。しっかりと崩されることなく、自分のスイングができたかな」と自画自賛の一打だった。

巨人の「第91代4番」を襲名した11日中日戦から4戦で14打数7安打、2本塁打。存在感が際立つ。4戦連続打点をマークし、この間のOPSは脅威の1.517。6番に打順を下げた岡本和は4戦で15打数1安打で打点0と苦しむ。1点を勝ち越した直後の8回1死二塁で申告敬遠で歩かされた中田は、その後2死一、二塁で打席に入った岡本和を、両手をたたいて鼓舞した。

“仮4番”の中田が言った。「和真も今、もがき苦しんでいると思う。僕もそうやってもがいた。でも僕が今までプレッシャーを感じながら4番を打っていたというレベルとは違うプレッシャーを、和真は感じていると思う」と“真4番”の心中をおもんぱかった。だから「自分は今は援護したいなという気持ちが強い」と寄り添った。

16年前の06年夏。2年生で大阪桐蔭の4番を張った。2回戦敗退も先輩、後輩、仲間と聖地で白球を追った。この日、最強軍団と称される後輩たちは、19得点の猛打で3回戦進出を決めた。「後輩たちも頑張っているので刺激になりますし、僕も今日は頑張りました」と中田。あの夏から変わらない思いで、グラウンドに立つ。【為田聡史】

▽巨人クロール(4番手で1回無失点に抑え、来日7試合目の登板で初勝利)「結果的に勝てたことがもちろん一番うれしいですけど、それに付随して自分に勝ちがついてうれしい。すごく雰囲気がいいチームです。(日本語で)サイコウ ジャイアンツ!」

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