甲子園で勝って、勝って、勝ちまくれ!! 夏の長期ロードを終えた阪神が、本拠地で最後の逆襲に挑む。30日広島戦に先発する青柳晃洋投手(28)は今季甲子園で無傷の5連勝中だ。首位ヤクルトとは厳しすぎる12ゲーム差…。しかし29勝17敗1分けと大きく勝ち越している甲子園で、残り22試合中16試合を戦える。完全V逸が最速「9・6」に迫る中、地の利を最大限に生かし、死に物狂いで食らいつく。

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夏の日差しが降り注ぐ甲子園の右翼芝生上で、青柳は黙々とダッシュを繰り返した。高校野球の熱戦の余韻が残る聖地に、約1カ月ぶりに帰還。久々の本拠地を堪能する間もなく、引き締まった表情で調整を終えた。「ずっとふがいない投球が続いているので、相手うんぬんよりも明日いい投球ができるようにしか考えてないです」。今季初対戦で先発予定の30日広島戦へ向け、自らを奮い立たせた。

青柳にとって悔しさの残る8月だった。2日巨人戦(東京ドーム)での12勝目を最後に3試合勝ち星から遠ざかる。防御率、勝ち星、勝率と投手主要3部門でトップに立つだけに、相手チームも徹底した対策をとってくる。20、21年も後半戦の失速があった右腕は、「メンタル面」を大きな要因に挙げた。

「勝たなきゃいけないとか、ちょっと考えすぎな要素がすごく多かった。球数を投げたくない中で際どい判定にいらいらしてしまったりとか、まだまだ未熟なところがここ最近露骨に出ているな、というのが反省点。明日は自分なりの楽な投球、ダメならダメでファームに行くだけだくらいの気持ちで頑張りたい」

背水の覚悟で臨む一戦だが、「甲子園」がエース復活の一助となりそうだ。今季本拠地では無傷の5連勝中。チームも29勝17敗1分けと大きく勝ち越している。矢野監督就任後は3年連続で勝率5割超え。球場を黄色で埋め尽くす虎党の存在も背中を押してくれる。好条件が並ぶ真のホームで、悪い流れを断ちたい。

コロナ禍で主力の離脱が相次ぎ8連敗など苦戦が続いた長期ロードは、10勝14敗で3年連続の負け越しで終わった。矢野監督は「そんなの振り返る余裕ないよね」と話し、帰ってきた甲子園でのゲームに気持ちを切り替えた。

「目の前を頑張ることで精いっぱい。過去ももちろん大事だけど、これからの方が大事。もちろん悪いところは反省して改善していかないとダメだけど、火曜日からの試合の方に気持ちはいっています」

リーグ優勝の完全消滅は最速で9月6日。それでも残り22試合中、本拠地で16試合戦える。得意の甲子園で勝ちまくり、奇跡へ望みをつなぐ。【古財稜明】

▼今季の阪神は甲子園での47試合で、29勝17敗1分けの勝率6割3分の好成績。他球場での29勝44敗1分け、3割9分7厘を大きく上回る。投手陣の安定感が際立っており、チーム防御率は2・22と、他球場の2・78から良化。30日先発の青柳は5勝0敗と好相性。ほかにも、昨季からの甲子園10連勝を目指す伊藤将が6勝0敗で防御率0・95、西勇が6勝3敗で0・99と、主戦投手たちが安定感あふれる投球を続けている。甲子園でのチーム先発防御率2・22、リリーフは2・21と、ほとんど遜色ないのが特徴だ。攻撃陣では、大山が全22本塁打中過半数の13本塁打を甲子園で記録。近本も打率3割2分1厘と、主力が結果を残している。

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