ロッテ荻野貴司(36)は一塁、二塁と最短距離で駆け抜け、11秒4ほどで三塁へ滑り込んだ。体を起こすと、目の前のベンチでは井口監督も仲間たちも皆、両手を挙げていた。「微妙な感じだったんですけど、外野が前進だったんで何とか越えてくれと」。願いが乗った。

同点の7回2死二塁。試合を決める右越え三塁打になった。体脂肪は約10%、細身ながら筋骨隆々の腕で、打球を運んだ。肉体を生かすのも準備あってこそ。ある試合で、イニング間に花火が打ち上げられた。風物詩を見上げる若手もいた中で1人、黙々とベンチ内でフォームチェック。日頃の振る舞いから、井口監督も「若い選手が本当に見習うべきベテランだと思います」とたたえる。

気がつけばチーム最年長になった。「あまり気を使われるタイプじゃないですけど」と笑う36歳。球団のSNSでは、佐々木朗に打撃フォームをマネされることも何度かある。7連戦の最後を、自身の一打で白星で締めた。「粘り強い試合ができたと思うので、今後に生きる試合になったと思います」。まだ5位だけれど粘り強く、あきらめず。最後まで駆け抜ける。【金子真仁】

【関連記事】ロッテニュース一覧